やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
連載
01 ワタミの宅食で11ヶ月頑張りました
02 ワタミの宅食でパートをした理由
03 世田谷地区進出の初出勤
04 安全な食事を安全にお届け
05 ワタミのまごころさんは身だしなみから
06 お試し5日間コース注文
07 お客様とのお付き合い/その1
08 お客様とのお付き合い/その2
09 お客様とのお付き合い/その3
10 雨が降ろうが、槍が降ろうが…
11 パート中のトラブルいろいろ
12 歳末のワタミは売り込みで多忙
13 大雪では自転車を押して配達
14 ワタミ最終章は 仲間との思い出
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ワタミの宅食でパート

08 お客様とのお付き合い/その2

何ヶ月かのお届けと思い出

まだ慣れない頃からのお付き合いで、忘れられないのが坂上の大きな一軒家のご家族。
一度に「まごころ御膳」3個のご注文で、計算を間違えそうになり、慌てた覚えがある。
慣れてきてからは、出張所で領収書も書いておき、チラシや説明書を準備してから出るようにしたので、あまり失敗は無かったのだが、まだ最初の何週間かはご注文いただいたお客様への対応もしどろもどろで、忘れ物までしてしまって、ご主人が自転車で追いかけてきてくださったのだ。

ここまでなぜか男性のお客様が多く、このお宅でも奥様がお仕事で留守がちの為、旦那様が対応してくださることが多かった。
後半から奥様のご在宅が多くなり、女性同士のおしゃべりも出来るようになって、到来もののナシを頂いたり、年末には庭の千両や水仙を切ってくださったりと、親しく接していただいた。

旦那様との話で、3個のお弁当はご同居のご両親と独り身の弟さんの分で、ご夫妻は別に召し上がっていたことが分る。
まだ配達の自転車に慣れていない頃、坂下で転んでしまい、お弁当が傾いてしまったときに奥様に少し直していただいたこともあり、いろいろと頂き物もして、仕事抜きでのお付き合いも少し出来たように思えるが、どうだろうか。

まごころ万菜
このお宅の近くで、続けて2軒お隣同士でお得意様ができた。
90歳近くのお母様を、お1人で介護していらした60代の女性。
夕食に「まごころ万菜」を注文されて、ご自身の手づくりの料理と合わせて、お2人で召し上がっていたようだ。

「ヘルパーさん」の話をお勧めしたり、私の介護経験などもお伝えしたこともある。
お母様はお元気なときは、庭で花を植えたりなさっていて、しっかりとした方のようだった。
春先に咲き始めていた、福寿草の花の濃い黄色が、記憶に残っている。

お隣は70代の男性で、やはり寝たきりのお母様の介護での「まごころ万菜」のご注文。
やはり夕食にはご自身の手作りのおかずを用意するため、献立表が欲しいと頼まれた。
1週間前の水曜日には出張所に届く為、木曜日にはお弁当と一緒にお届けもしていた。
アレルゲン表

この献立表は、成分表とアレルゲン一覧表が裏表に記されていて、とても便利なのものだし、多分ワタミならではの細やかなサービスだったように思うのだが、お客様で活用なさっていたのは数件で、実際に数値を気にされていたお宅は少なかったように思う。
成分表

この2軒を繋ぐ細道は塀脇の道で、庭からの木立が日陰を作ってくれ、また人通りもないため、空き弁当とこれから配達するお弁当の入れ替え場所として、毎日利用させてもらっていた。

とても広いお庭のあるお宅で、植木屋さんが入っているときに小声で「5万円くらい掛かります?」と聞いたら「とんでもない、15万でも足りない」と大声で言われて、驚いたことがある。
我が家は庭木は鉢植えだから、お金は掛からないのだが、広いお庭で植木がたくさんあるお宅は大変なんだな、と思ったものだ。

夏前くらいからの近い住所で続いての配達に、大きな一軒家にお1人住まいの70代の女性がお二人いらした。
大通りのすぐ近くのお宅の方は、非常に寡黙であまり口をきくことがなかったが、「まごころ御膳」が一つ。
夏には「暑いので早めにお届けにあがります」、冬は「寒くなってきたのですこし遅くなります」と言うユフィに少し笑って「あ、そう」と言うだけだったが、お出掛けの時にはきちんと発泡スチロールの箱を玄関脇に出して置いてくださった。

このお宅から少し住宅街の奥に入った一軒家の奥様は、正反対のおしゃべり大好きな方。
最初の訪問での集金時から、まずは「家に上がって」と誘われ、初めて靴を脱いで座敷に通された。
30分くらい話を聞いてからお暇したが、このお宅では玄関に回らずに居間の濡れ縁からサッシを開けて、お弁当を置くことになった。奥様は玄関まで出るのが億劫だし、私は玄関まで回らず直接門からお届けできて、「お互いに便利」と言うこと。

前のお宅には、家族の影が全くなく完全なお1人住まいなのだが、こちらの奥様はお一人でも毎週誰かが来ているらしい。
娘さんが火曜日、お嫁さんが金曜日に来るようで、必ず何か日持ちのする手づくりやデパートのおかずを持ってきてくれるとのことで、始めは「まごころ万菜」をお届けしていたのだが、冷蔵庫にあるおかずも食べなければならないし、多すぎるということで「まごころおかず」に変更になった。
このお宅には、忘れられない騒ぎがあったのだが、後で『トラブル編』にまとめてみたいと思う。

そして、このお宅の次に伺っていたのが、こちらはまったくのお独り身の男性。
70代後半だと思うのだが、ユフィがお届けにもっとも苦労したお宅だ。
一軒家が多かったが、この男性宅はマンション・アパートの4階。
しかもエレベーターがないので、階段で上がらなければならない。
最上階のため屋根がなく、夏は暑い日差しが降り注ぎ、冬は寒風や雪で苦労した。

それより何より、膝関節を痛めてからは、この4階までの階段の上り下りが苦痛で、痛みを堪えながらのお届けだった。
引継ぎが決まってからはの研修の5日間、本来なら最後のご挨拶に伺うべきだったのだが、階下で失礼してしまったくらい。
この方の支払いが変わっていて、小さなビニール袋に10円や50円の玉をいっぱいに詰めてくださるので、重くて仕方なかったっけ。
小さなビニール袋

男性の1人住まいということが一緒なのが、頂き物をよくしたお宅の少し先の大きなマンションの1階の方。
定年退職のしたばかりの60代で、「食べたい物を食べたいときに食べたい」と言う理由で、1週間置きにお弁当も変更していた。
宅配の無い間は、自分で調理したり、外食したり、店屋物を取ったりしていた様子。
オートロックのマンションで、他のお宅のように自転車の停車に困ることは無かったし、安心して鍵を掛けずに停めることが出来た。

以上が最後までお付き合いさせていただいたお客様。
引継ぎの若い女性に「大切にお付き合いをさせて頂いていたから、よろしく」とお願いした方々だ。
その他にもうお一人、半年以上のお付き合いをした方がいらした。

オートロックの大きなマンションでお住まいで、「飽きちゃった」と止められたお独り身の80代の女性。
こちらは高層のマンションで、曜日によっては通院があるため、1階の宅配ボックスに入れることになっていた。
始めは「美味しそうでおかずが多い・まごころ万菜」をとられていたが、途中から「量が多くて食べきれない」という理由で「まごころおかず」に変更された。

伺う度に「昨日のは美味しかった」「ちょっと味が合わない」「5日間で2回美味しければいいか」という、感想を聞かせていただいたが、なにしろある会社の取り締まり役だそうで、流石は高級マンション住まい。
美味しいものをいつも召し上がってもいるので、「味にはうるさい」のだが、続けた理由は「食べなくなるから」とのこと。

お歳を召して食も細くなり、旦那様もお亡くなりになっているから、独り身では食事をつくるのが面倒臭いらしい。
自然に食べないことが続くようで、通院の際にタクシーで出掛けるときには、美味しいランチを食べてくるのが楽しみな様子。
たまにいらっしゃる妹さんが心配して「ワタミの宅食」に電話したらしく、「美味しくないから止めたいと言うと、食べなくなるから駄目、続けて」と言われるとこぼしていらした。

とうとう我慢できなくて、半年でお別れしてしまったが、気になるお客様だった。
このマンションでもユフィの勘違いから大騒ぎになったことがあり、『トラブル編』で書くことにする。
そういうことで、味にとてもうるさい・お金には困らない・美味しいものが食べたい、という方には「ワタミの宅食弁当」は不向きということになる。

最近のテレビニュースで、『宅食が高級化し、老舗の有名店も参加する』ということを目にしたが、今まで店に通っていたものと変わらない味を自宅で味わえるのなら、『食通』には最高だろう。
足腰の老化で店に通えない程度なら、食は美味しいものが良いのに決まっているだから、毎日では無くても老舗の味の宅配は嬉しい。
ただ、期間や宅配の住所が限定らしいので、誰でも何時でもとは行かないのが難点。

「ワタミの宅食」の場合は、食事作りが出来なくなった・成人病で食事制限がある・介護食が必要、というな方々には好評なのだが、「ものすごく美味しい」という訳にはいかない。
ただも機械で大量生産するのではなく、手づくりで安心な食材を使用した栄養士作成メニューでのお弁当なので、薄味が気にならなければ長く続けていただけると思うし、実際に長くお付き合いさせていただいたお宅は多かったのだ。
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