やましたさんちの玉手箱
ジャックの記事
連載
01 陶器のある散歩道 絞り染めのある旧東海道 常滑から有松まで
02 一番早い春 指宿の菜の花
03  水の都の本場は 松江だ 夏でも冬でも水は心だ
04 宇和島へ みかんを味に行く
05 春はタンゴに乗って 北近畿たんご鉄道
06 雪の壁を見に行く 立山・黒部 アルペンルート プラス さくらえびとほたるいか
07 花燃ゆ 萩の町 または夏みかんの里
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日本感覚旅行

04 宇和島へ みかんを味に行く

 お隣から、珍しいみかんを頂戴しました。愛媛の新種を含めたいろいろのようです。そこで私も、宇和島へみかんを見にいってみます。

みかんと海
宇和島はみかんの代表的な産地です。秋の終わりから出荷される温州みかんが終わって、春になると、いわゆる「伊予柑」の季節です。みかんが栽培されるのは、南向きの急峻な崖や丘の一面になります。太陽が樹木全体にいきわたるように、こうした土地が選ばれるわけです。従って、夏場の灌漑や摘果の作業は、急な山道を上下する過酷な作業になります。

 ですから、みかんを見に行くなんて、素人ではとても行き着きません。
 それにしても、桜を見に行く、梅を見に行く、その他もろもろ、花を見に行くとは言いますが、みかんを見に行くという言い方はあまりありません。りんごを見に行く、ぶどうを見に行く、もあまりない。でも、果実が実っているのを眺めるのも、きれいだし、なにか力が湧いてくる感じでいいものです。
 でも、この場合は、例えばいちご狩り、ぶどう狩り、りんご狩りなど、おみやげにするための鑑賞ということになります。ところで、同じ果物でも、柿って、柿狩り、柿摘みっていいませんよね。柿って、高いところに成っていて、三股といわれる長い棒にY 字のついたもので折らないと取れません。柿の木って折れやすくて、登って採ることができないのです。私が子供の頃、家にあった柿の木に登らないように“柿の木から落ちると、一生怪我が治らない”と、よく親から注意されたものです。
 いちごも、ぶどうも、りんごも、なしも、手の届くところにあるから、狩る、もぐ、摘むなんていう言い方をするのかもしれません。

 さて、みかん。ここはタクシーにお任せして見物に行くのがいちばんです。先ほど言ったように丘に登るわけですから、当然海も見えるわけで、みかんと海がみえるところへ連れて行ってください、とお願いして案内してもらいました。さすがにタクシーの運転手さん、名所が分かっています、ちょうど梅が見ごろで、足許には菜の花。春のゆったりとした海が見下ろせます。
梅と菜の花と海
実っている伊予柑みかんを運ぶモノレール
 温州みかんももちろん、伊予柑も摘んで運ぶのは大変、そこでモノレールが配置されています。木々の中を縦横に曲がり降りながら、地上まで運んでいきます。

 伊予柑のおいしさはだれでも知っていますが、数年前「清美」という新種が登場して、その甘さ、香りが大人気になりました。温州みかんの甘さとはまた違って、酸味があるというか、例えて言えば、甘みを引き立てるのに塩味を効かせる、いった按配でしょうか。
 その後もいろいろ新種が登場して、お隣から頂戴したような、珍しいものが出てきたのですね。

 ちょうどこの項を書き始めた時に、仕事場の看護師さんの控え室に、箱入りで和歌山の「三宝柑」(さんぼうかんと読みます)が届き、みんなに一房ずつおすそ分けがありました。全て枝と葉のついたものです。この三宝柑は皮が厚く、むくと実は三分の一くらいになってしまいます。伊予柑に比べて少しパサパサしています。長野県の名産「みすず飴」の6種のうちの一つに使われているそうです(ちなみに、他はあんず、うめ、ぶどう、もも、りんご)。
三宝柑

 運転手さんから、“少し時間があれば内子に寄って行きなさい”と言われて、予讃線・特急で1時間ほどの内子町へ。ここは、蝋燭と和紙の製作で賑わった町です。内子の蝋燭はすすが少なく、炎が風邪に強いと言われています。震災というと、蝋燭を思い出す人も多いでしょうが、我が家のようにお仏壇のある家でないと、蝋燭の常備はなかなかないもの、仏壇があっても、仏壇用の蝋燭はそんなに長時間使えるものではありません。震災の心配が今ほど高い時期もありません。内子の蝋燭が、もっと知られるようになるといいと思いながら、町を歩きました。
内子 蝋燭のお店町の一角
内子の町 

 古い町並みは静かで、いわゆる小京都に観光客がそぞろ歩くという光景ではなく、なにかひっそりとしていました。観光客におもねることなく、静かに生活しているようです。駅から近くに「内子座」があります。文楽の劇場で、大正5年に建てられたものを昭和58年に復元。文楽に造詣がなくとも、一見の価値のある劇場です。
内子座の看板
内子座の全景
劇場の内部
劇場の内部にある昔の宣伝看板もう一つの看板
 桟敷のある劇場内、二階席から見たところです。この看板は昔のものがそのまま劇場内に掛かっています。ちなみに、下右の看板は右から横に読みます。
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