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正月のお酒

 去年の暮れ、毎月、その月に必要と思われる、ビールと日本酒をまとめて取っている酒屋の青年が“元日の朝に初絞りする日本酒を、その日の夕方にお届けできるいいお酒があるのですがいかがでしょう”とお勧め。まず、乗らないテは無いでしょう。で、二本注文。銘柄いくつか言ってもらったのですが、それだけでは分からないので「キリン」と「ハクリュウ」というお酒にする事に。元日の夜のお楽しみです。

 さて、我が家の正月。ユフィの母が健在な頃は、母がほとんど一人で起居している二階の台所で、煮物のほとんどを母が。所謂お節は、キントン、黒豆、田作り、などなど、材料以外のほとんどをユフィが作っていました。
 母の介護が必要になった頃からは、煮物はユフィが、お節は一部、お店からの取り寄せになっていきました。最近では、年賀状の売出しが早いか、お節の注文が早いか、と言うくらいの人気お節の品比べで、この頃はサーヤが参戦して、正月の準備をするようになりました。

 さて、我が家のお雑煮です。男性は結婚すると、自分の母親の味をカミサンに強要するか、カミサンサイドに白旗上げるか、どっちかになるのが世の常なのですが、私は母が早くに死んでいることもあり、母とユフィという強力なタッグを前に、料理については全面おまかせのスタイルとなっていました。でも、例えば煮物の味の濃さ、味噌汁の味の濃さなどは私の母とよく似ていて、むしろ味の濃い料理を好む私に驚いていたくらいだったのです。
 私が味わってきた雑煮は、鶏肉と三つ葉のおすましに、焼いた角餅で、これはユフィ家でも全く同じで、これがむしろ私には驚きでした。驚きといえば、結婚して初めての正月、このお雑煮と一緒にお汁粉が出てきた事でした。ユフィは東京生まれですが、母は岩手の岩泉の出身、こちらでは『二膳雑煮』といって、お汁粉が一緒に出るのがふつうなんだとか。お汁粉が出た事に驚いた私に驚いたようでした。
 私は、ジャックのプロフィールにも書いているように、あんこの和菓子が大好き(お酒のむのにってよく言われるが)でお汁粉も好き。ただ、中途半端な甘さは嫌で、喉がしみるくらい甘くないと満足できないのです。母も段々に私の甘さに合わせるようになってくれて、最近の我が家の正月のお汁粉は甘いぞ。

 で、お酒の話。正月はいつもより、少しいいお酒を買うのですが、去年も買った様に「白瀧酒造」の『上膳如水』(じょうぜんみずのごとし)のようなすっきりしたお酒にしています。吟醸酒はちょっとフルーティーで香りも強く、私にはちょっとしつこい感じがして通常、家で飲むことはほとんどありませんでした。

 そして、元日の夕方届いた二本。
新潟の酒 白龍
無濾過生原酒 純米吟醸 純米歩合55% 18度
白龍酒造


もう一品
ほまれ 麒麟
元日初絞り 無濾過生原酒
下越酒造


 この吟醸酒、お節にはぴったり、ということが初めて分かりました。というのは、お節ってどの一品をとっても、とても味がそれぞれ主張が強いものですよね。そして、一品ずつ味が違うので、すっきりしたお酒だと、お酒の味が負けてしまうように感じたのです。そう、吟醸酒はお節の一品ずつと、バトルするのです。
 分っかるかなあ、分かんねえだろうなあ
 このセリフ、昔の漫談師・松鶴家千とせ(しょかつやちとせ の名セリフ)
 知ってるかなあ、知らねえだろうなあ

正月のお酒
●麒麟 左と 右 白龍

右の白龍のビンに付いている首飾りのようなものに、こんな但し書きが書いてありました。
『純米吟醸しぼりたて生原酒は、本来蔵元でしか味わえない無濾過でしぼりあがったばかりの新酒です。  新鮮な新酒の爽やかな香りと、芳醇な味をお楽しみください。』
『しほりたてのまま、一切手を加えておりませんので山吹色をしており、また酵母等のオリが沈殿しておりますが問題ありません。』
 ですと。各々720mlで、二本で3.000でお釣りが少々。楽しめました。
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