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介護食・老人食に簡単お勧めは「葛」

母が入院してから毎日葛を運んだ

最近の話題に、「まずい病院食」についての様々な案が出ていることが伝えられている。
今までは、入院して出る『病院の食事』は、美味しくないものと決まっていたようだ。
2013年の12月の「グッドデザイン」賞受賞では、『介護食』も出てきている。

しかも「おせち料理」なのだから、驚く。
見た目は全く普通と変わらないのに、口中ですぐにつぶれる柔らかさらしい。
きんとん、黒豆、かまぼこ、煮しめ、そしてホタテの香味焼きなどは見た目も味もそのままとのこと。

この会社は、主に病院の給食作りを手がけていて、7年前から「介護食」の開発にも乗り出したとか。
年齢を重ねることで、噛んだり飲み込んだりする力が衰えた人に、目で楽しんで味でも喜んでもらいたい、との強い気持ちからなのだそうだ。

病院では、飲みこみに問題のある病人や老人には、ミキサー食を出しているようだ。
いくら栄養を考えた食事でも、全てをミキサーにかけてしまっては、見た目はドロドロの汚い色で、味も美味しいものではない。
まず、見た目が重要と感じたため、魚などはすりつぶしてから切り身の形に作り直す方法を工夫。

失敗を重ねた結果、たどり着いたのが医療用の人体模型を作る会社のシリコン型。
魚やホタテなどの型が、100パーセントで出来上がったらしい。
本物の魚を使用しているから、味わいは全く同じで、ムース状に口の中で溶けるため、飲みこみに問題のある人にも食べてもらえるようだ。

もう一つ、11月の「食の展示会」では、病院食ではなく在宅介護のニーズに着目、開発を続けている会社もあるらしい。
海老などの食材をそのままの形で、酵素を使って柔らかくしてしまう方法だとか。
酵素には、食材に入り込むことで細胞と細胞を繋ぐ蛋白質を分解する働きがあるようだ。

キウイやパイナップルなどが、肉類を柔らかくしてくれるという話は聞いたことはある。
200種以上の酵素を、7年もかけて研究した結果、やっと「美味しくて柔らかいメニュー」を開発できたらしい。
柔らかくても、苦味などの酵素のクセが出るものもあるのだとか。

口に入れて、ただ柔らかいだけではなく、美味しく飲み込めなければ、食事にはならない。
各分野の様々な食に関わる人々が、来るべきそう老人社会に向けて、努力を続けていることは頼もしい限り。
自分がお世話にはならなくとも、身近に介護食や病院食に悩んでいる人には朗報に違いない。

ただし、価格についての言及は無かったので、当然高価なのだろう。
なにしろ手間も暇もものすごく掛かっているのだから…。
全ての介護される人々や、入院して美味しくない食事に悩む病人に、このような夢のような美味しく食べやすい食事が行き渡るには、10年以上の時間が必要かもしれない。

幸い、ユフィは入院経験は、中耳炎の手術のときの1週間くらいだけ。
しかも選べる食事で、朝昼晩二通りのコースから選んでいたし、なにしろ耳の手術で身体的な苦痛は無かったから、真夏の暑い中避暑気分でゆっくりと楽しんでしまった。

母が4年前の12月に急性肺炎で緊急入院したとき、毎日昼食のときに通ったのだが、うどん」などは細かく切ったもので、見た目も美味しそうではないのが分ったし、食も進んでいなかった。
葛が滋養もあり精がつくと聞いたので、毎日工夫して持参しては食べてもらっていた。
吉野葛

本葛は高価でもあるけれど、一日一回分だから、負担な程ではない。
葛湯としてではなく、柔らかめのゼリー状にしたものを食べてもらった。
ある日など、少し昼食時間に遅れて病室に入ったところ、食べさせてもらっていた食事を、プッと吐き出したのには驚いた。

付き添いさんが、「美味しいものを持って来た、と思ったのね」と言っていたが、私が行かなければ黙って食べていたみたい。
お粥が嫌いで、柔らかいご飯にしてもらっていたし、味の濃いものは食べさせられなかったから、毎日味を変えて持っていった。

白い艶やかな塊を崩して鍋に入れ、適当な量の水分で煮ながら混ぜていくと、透明でトロリとした感じに出来上がる。
食事用なら、野菜ジュース系統の豆腐上がベストだろうが、母はあまり好まない。
蜂蜜・牛乳・コーヒー等々、デザート感覚で工夫した結果、砂糖と黒砂糖の一番シンプルな味に落ち着いた
真っ白な葛の塊

葛については、京都の吉野葛が有名で、仕事で訪ねたこともある。
店先にあったものすごく太い材木のような木の根が、葛の根だと知って驚いたものだ。
秋の七草としての葛の花は知っていても、その旺盛な生命力は知らなかったのでただただ驚くしかなかった。

掘り出す手作業が大変なこと、その後の澱粉を取り出す作業も、長い時間と手間が掛かる。
根を粉砕して繊維を砕き、澱粉質を水に溶かし、細かいふるいにかけて一昼夜置くことで、底に葛の成分が沈殿して固まる。
この塊を溶かしては沈殿させて固めるという工程を10回も繰り返し、晒されて固まった葛を割り、自然乾燥させるらしい。

葛根100キログラムから、葛粉7キロしか取れないのだそうで、高価なのは仕方ないようだ。
「本葛」はこのように工程が非常に手の掛かるもので、現在では100パーセントのものは少ないとのこと。

効能も広範囲にわたっている。
・血液の浄化 ・血行の促進 ・体を温める ・免疫機能を高める ・体組織を柔軟にして強靭にする ・自律神経を安定させる ・内分泌機能を高める ・老化防止 ・炎症を治める ・鎮痛 ・血圧や血糖を安定させる ・臓器の機能を高める 等々

年齢、性別、性質、症状に関係なく、いつでも誰でも摂ってよいもののようだ。
葛は漢方では「上薬」と言われて、安全で効果的な薬とされていたらしい。
母に毎日運んでいたときは、滋養強壮に良いとしか知らなかったけれど、「すごいものだったのだな」と今さら感心している。

そう言えば、風邪予防に『カッコントウ・葛根湯』を常用して、5~6年になる。
のどがおかしい、鼻水が出た、風邪かな?というときには、漢方薬なのに食前食後関係なく、服用している。
食後でも「効き目は5パーセントくらいしか違わない」と、手術した耳鼻科の医師に勧められたから、間違いはないようだ。

葛粉はまだ残っているから、なにかの折にはお菓子にでもしてみようかな。
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