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猫、美輪明宏の歌で水を飲む

アメリカンショートヘア マサムネ君

マサムネ君の本名は 正宗小粋丸、13歳の雄で三月三日生まれ、男盛りを少し過ぎ(とは言っても、家に来てすぐに去勢手術をしているので、何を盛りというかはあいまいだ)て少々貫禄がついてきたところ、深夜に布団の周りを歩かれるとミシミシ音がするのは築40年の我が家のせいばかりではない。トイレに入っているときに上の階段を下りてくるとドシドシいうのも同じこと。

マサムネの水飲み五態

その一 土方飲み
 土方って知ってますか、パソコンで入力しても熟語で現れません。数十年前、野外で作業をしていた土木作業員のことです。昨年の大晦日、NHK紅白歌合戦の目玉として登場した美輪明宏さんが歌った『ヨイトマケの歌』の歌詞に登場しますからご覧になった方は聞き流したことと思います。ちなみに美輪さんがこの歌を歌ったころは、丸山明宏といって体にぴったりの白いTシャツに白いパンツスタイル、銀座にあったライブハウス『銀巴里』の人気ものでした。色白で大きな瞳でそれはもう…………でありました。
 ええと、マサムネ君の話でした。それで、土方の方たちは喉が渇いたとき、自動販売機もペットボトルもない時代、現場に水道線を引いて用を足しました。さりとて汚れた手で水をすくって飲むのもためらわれ、蛇口から直接飲んだのですね、それでも次に飲む人のことを思って直接蛇口をくわえるようなことはせずに、少し離れた状態で、お天等さまに顔を照らされながらごくごくと、ちょっと長くなりましたが情景は分かっていただけますかね。
 そこでね、ようやくマサムネ君です。彼はカップなどに入れた水を飲むということをあまりしません。いちばん好きなのがこの<土方飲み>、キッチンに誰かいるときにやってきて台にジャンプ、浄水器の付いた蛇口にほっぺたスリスリで催促、水を出してやるとやおら口を近づけて横向きにぺちゃぺちゃ、あまり喉に入っているようには見えないのですがこれで満足、当然飲み終わるまでおつきあい、ほっぺの水滴を頭を振るって一閃。
 土方さんの話にもう一度戻ると、彼らは呑んだ後、頬につたわる水滴を、半袖シャツの二の腕あたりで拭くのです、これがけっこうたくましくてね。
土方のみ

その二 頭から被り飲み
 同じ蛇口から飲むときでも洗面台ではちょっと違います。蛇口と水受けの間が少ないせいか、水を出すとやおら頭を水の真下に、おでこから伝わり落ちる水をすくって飲みます。水をためてやっても飲みません、動いてる水がいいようです。当然頭はびしょびょ、頭を振るって水を切られると困るので、飲み終わるのを待ってタオルでごしごしやるのですが実はこれが嫌い、飲み終わると拭かれる前に飛び降りようと、機をうかがいます。飲んでいると途中か、飲み終わったか、様子見しばらく、すぐ後ろにいると気にしてなかなか飲まないので少し下がって待ちます。終わって洗面のふちに足をかけたところで御用。
頭のみ

その三 水差しから
 去年の夏のころ、私のデスクのまえは40センチほど幅のある出窓になっていて、小さな鉢や招き猫などがあります。その中に幅10センチ高さ25センチぐらいのガラスの水差しがあります。家内が仏壇にあげた小花の残りを差してくれています。マサムネ君はここから外を眺めるのが好きなのですが、喉が渇いたのでしょうか、水差しに突然頭を突っ込んで、花の枝を押し分けて水を求め始めました。どんどん突っ込んで顔がガラスにぴったり、水と顔の間が真空状態になったかのようで、そのまま顔をあげると水差しが持ち上がってしまうか心配になるほどでした。
 以来、小花はコップに入れ変わって、水差しは二階でのマサムネ君の専用の水のみ場になりました。窒息しないように、いつも水を入れるのを欠かしません。マサムネ君にとっては展望台でちょっと一杯、といったところなのでしょうか。
水差しから

その四 賜杯飲み
 暖かくなって私の園芸作業が始まる頃になると、マサムネ君も外で過ごすことが多くなります。外出することはないのですが、時としてノラ君が来るとつられてお隣の庭先まで入り込むので、10メートルの細引き縄を首輪に付けておきます。
 外へ出してやると真っ先にやるのが水飲み。温室のそばに水遣りようの直径50センチ高さ70センチほどの大きなバケツがあるのですが、伸び上がってバケツの淵に手をかけるとちょうど顔が届くのです、ここから水を飲みます。このため外へ出て私が真っ先にやるのはバケツの淵まで水を一杯にいれることです。
 この飲み方、横綱・白鵬が優勝賜杯に注いだ酒を両手で抱いてぐっとやる、といったように見えるのは、相撲ファンであり、日本酒愛好家の私だけの見立てのような気もするのですが、写真をご覧になってご判断ください。
賜杯飲み

その五 風呂の水飲み
 夕方、仕事から帰って洗面でうがいをし、手を洗っているとマサムネ君が横の風呂場の扉の前に来て、風呂を沸かすスイッチボタンを押すのを待っています。私が風呂場に下りると一緒に下りてきます。ボタンを押すと、……ゴボゴボと湯が還流始める音が、やおらこの音を合図にマサムネ君、蓋に飛び乗り、一枚だけ開いている蓋の部分から首を突っ込んで、もちろんまだ温かくない風呂の水を飲みます。「風呂の水を飲む」っていうほど飲むわけじゃないんだけど、夕方の一杯は風呂で」という按配。おかげで、冬の間サーヤが使いたがる入浴剤を使えない日々なのです。
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