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マサムネ君の旅立ち ~今までありがとう~

2017年1月9日祝日。
マサムネ君が17歳10か月で旅立った。


マサムネ君の最期の記事を書こうと思ったが、みんなその気になれず伸ばし伸ばしになってきた。
5月に入り新しい家族を迎えることが決まったので、今度こそマサムネ君をきちんと見送ってやらねばと記事を書くことにした。



住み替えを計画するにあたって、一番心配だったのがマサムネ君だった。
計画を決めた時点では16歳になっており、諸処の事情でなかなか計画が進まなかった間に17歳となってしまった。
15歳時点では何の病気もなく元気だったのだが、16歳を過ぎて膀胱炎になったり腎臓病になったり膀胱にポリープが発見されたり、容態が悪化して夜間救急病院に駆け込んだりして大騒ぎだった。

こんな闘病期間中に住み替えが決まって、バタバタしている最中に死んでしまったら「申し訳ない」の一言しかなくなってしまうのが、イヤだった。
それでサーヤは京都の伏見稲荷神社で「家内安全」の祈祷を受けて、自宅の神棚に毎日手を合わせてこうお願いしてきた。
「新しい住まいでマサムネ君と楽しい日々が過ごせますように」

ようやく我が家の買主が決まり、物件も見つけて住み替え作業が本格化してきたが、リフォームの都合で数か月ほど仮住まいをしなければならないことに。
私たちは我慢すれば済むことだが、マサムネ君にとっちゃ「わけわからん」ことである。
長年住んできた家を離れて、仮住まいマンション生活にまず馴染めるだろうか…?

その対策として、最初の買主であった祖母の椅子と座布団を持ってきたところ、引越当日から座布団の上にのり、しばらくそこで過ごしてきた。
最初の数日間は落ち着かないそぶりはあったが、何となく察したのかわりと早くなじんでくれた。
ひとまずは「ホッ」とした。

仮住まいに移る前に調べておいたのだが、元野良猫や頻繁に外に出かけたりする猫は「家につく」ので引越しをすると非常に落ち着かなくなったり、元の家に戻ろうと家出してしまうことはある。
ほとんど外に出ない家猫は「飼い主につく」ので飼い主が側に居ればどの環境に移っても大丈夫らしいのだ。
マサムネ君は後者だったわけで、家族が「外出は交代で行い、必ず一人がマサムネ君の側についている」ことに努めたことで問題なく過ごすことができた。

長年通院してきたアマノ動物病院は遠すぎるので、試しに近くの「まつばら動物病院」に転院してみたところ、きちんと説明して治療してくれる親切な先生で家族ともども安心した。

仮住まいに引越して少しした頃、腎臓病の悪化のせいか、マサムネ君が食欲不振になってきた。ちょっとやばいぞ、まだ新居へ移るまで間があるのに…。
何となく仮住まいの場所では死なせたくない気分がするのだ。魂がしばらくその場に留まるとかを考えるとね…。
そこは松原先生が胃腸の薬を投薬してくれたおかげで、食べる量は減ったものの食欲旺盛に戻ってきた。食欲があっておねだりする、それだけでも私たちは安心できて嬉しかったのだ。
このころから牛乳を飲むようになってきて、腎臓病による水分補給も兼ねてるのかがっぶがぶ飲んで1週間で1パックあけるほどの飲みっぷりだった。

ごらんのとおり、仮住まい中にジャック父の昼食時にやってきて、手を出す始末。
(猫にイカは危険物だからあげちゃいけません。もちろんジャックはダメだよと言いながら他のものをあげました。)

あとは新居に移るだけなのだが、ここで非常に心配なことが。
リフォーム下見のためにマサムネを連れて新居に行ったところ、ギャーギャー大声で鳴きわめいては玄関ドアをカリカリとかいたりして脱走しようと必死だったのだ。
仮住まいでは大丈夫だったのに、何がそんなにイヤなのか?
また引越するのは嫌だという訴えなのか?
どうしよう、新居に移っても日々こんな様子だったら…。

…ちょっと、高齢+闘病中にしてはずいぶん元気な様子でまだ長生きできそうだなぁと別の意味で安心はしてしまったが…。

しかし何の対策も見いだせず、新居のリフォームが済んで引っ越しが決まった日は年末近い12月後半。
また鳴きわめいたりしたら病気の体に障りそう…と色々と心配しながら、動物病院にあずけて、家具を整え荷物を搬入し終えてからマサムネ君を迎え入れてみたところ…。

キョロキョロと探検するかのように周囲を歩き回るマサムネ君。
ドキドキしながら様子を見る一家。

(向こうのジーパン男性は電気屋さんの人)

…鳴かないな?…逃げようとしていないな?…と予想と違った様子に「おや?」と思う。
一つ一つの部屋を確認するかのように見て回るマサムネ君。


ジャック父の部屋に入るマサムネ君。

あっ、ちょっと待って、そのベッドは一番高く調整しているから飛び乗るのは無理…

ぴょん。


これ、サーヤはすごく驚いた。
ベッドを組み立てる時、かなり高さがあって高齢+闘病中のマサムネ君には乗り降りができないから人間が助太刀してやらないと…と思っていたのに、難なくクリアしたので「おまえ、まだ元気なの?」と。


何だか若い猫のように興味津々であちこちを探検するマサムネ君。
高齢や闘病を感じさせないほど生き生きしていた。

結局、マサムネ君は鳴きもせず逃げようともせず、「ふむここが新しい住まいなのか」という風に確認しまわった後、すぐにこのジャック父の布団の上で丸くなって寝てくれた。
当日のうちに馴染んでしまったのである。
仮住まいの経験があるせいか、引越や新しい住まいへの抵抗感がずいぶん薄くなっていたようだ。

リフォーム下見の時は家具がなく人間味の感じられない空っぽの部屋だったので、それを異様に感じて嫌がったのかもしれない。
(人間の赤ちゃんも狭い部屋から急に広い部屋に寝ころがされると、萎縮することがあるようだ)
これも猫と一緒に引越するコツの一つかもしれない。何もない部屋だと嫌がり、家具や荷物がある部屋だとすぐに馴染むのである。


そして新居に移ってから2週間経って正月を迎えるころ、マサムネ君も徐々に慣れてきてユフィ母のベッドでくつろいだり、リラックスしている様子が見られてきた。


新居に移って3週間、久々にマサムネ君がジャック父の膝で寝た!
世田谷の家にいた頃は毎日のように膝の上で寝ていたのだが、仮住まい(3か月間)では落ち着かなかったのか膝で寝てくれなかったのだ。
この様子でマサムネ君は本当にリラックスして新居生活できたのだなと安心できた。


食事の量は徐々に減ってきて、スープやゼリー状のものしか口にできなくなっていたが、治療のおかげで食欲はずっとあった。おやつや美味しいものをまだまだ食べたいという意欲は最期までずっとあった。

ジャック父の膝の上でゼリーを食べるマサムネ君。
この直後には足腰がたたなくなり、フラフラして歩けなくなってきた。翌日は立つのも困難になってきて最後の食事となったスープを飲む時はジャック父やサーヤが支えることで食べられた。
そして翌々日の早朝にマサムネ君は床暖房の上で暖まりながら永い眠りについた。
二日前に撮ったこの写真が最後のものとなった。

この早朝は雨が降っていて肌寒い日だったので、動物病院の先生はこの寒さで容態が悪化したのかと思ったようだが、すでに兆候は二日前からあって最期はほぼ決まっていたと思う。
苦しんでいる様子はなかったので、病気の悪化ではなく老衰だったと思う。
確かに肌寒い日ではあったが、つけっぱなしにしていた床暖房の上で亡くなったので寒い想いはしなかったはずだ。そういう意味では、亡くなったのが床暖房のない仮住まいでもなく、古くて寒い木造一軒家でなく、暖かい新居マンションで良かったと思っている。

新居に移り、みんなでお正月を楽しみ、サーヤが家にいる祝日に旅立った。
寝たきりになることなく、本当に足腰立たなくなった直後に逝った。
色んな意味でベストだったと思う。よくここまで頑張ってもってくれたし、私たちに付き合ってくれたものだ。

伏見稲荷の神様にも、マサムネ君にも、感謝するばかり。
願いどおりに新居で楽しい日々を過ごさせてくれてありがとう。


マサムネ君が逝った朝のうちにお世話になったまつばら動物病院に行き、ご挨拶とお礼を伝えて、ペット葬儀案内のパンフを手渡してもらった。
ペット葬儀のメモリアルコーディネイト「VIPペットサービス」というものだ。


葬儀を行う場所は足立区で遠いのだが、犬猫の区別や体の大きさによる料金の違いがあるだけで、どのサービスを選んでも料金が変動しないタイプである。
これなら自分が望む方法で自由に選択することができる。
依頼すれば葬儀への往復を完全送迎することもできるし、ペットだけ預けて全てお任せすることも、当日中に返骨することもできる。


個別葬(一体で火葬~返骨、立会い葬または当日返骨)
お骨上げ葬(立会い葬でお骨上げを全て飼い主が行う)
合同葬(他のペットと一緒に葬儀してもらい、お骨は合同慰霊墓地に埋葬)
…と、葬儀にもさまざまなタイプがある。


家族会議の結果、気持ち的には立会い葬したいが現時点でも哀しさいっぱいなのに更に涙腺崩壊するのはしんどいので、遺体を預けて葬儀をお任せしての当日返骨を依頼することにした。

業者が遺体を引き取りに来て、紙製の棺に納め、お迎えの車で線香をあげさせてもらった。(お迎えの車の後方に葬儀棚が設置されていた)

そして当日の夕方、マサムネ君のお骨が戻ってきた。
小さな青いバラ柄の可愛らしい袱紗で、戻ってきたときは骨になった寂しさもあったが、「可愛らしい」とつい言葉に出る嬉しさもあった。
「爪」というペットの手足の指を別の小さな容器に詰めたものも添えていた。これは「間違いなくペットを火葬してお返しした」という証明の一つなのだそうだ。

マサムネ君のお骨は元の飼い主だった祖母の仏壇に供えておいた。
前に飼っていた犬のマルチーズのお骨は世田谷の家の庭に埋めていたが、マサムネ君は祖母が可愛がっていたこともあり、今後も仏壇の側にお骨を置き続けるつもり。

翌日、サプライズな贈り物が届いた。
まつばら動物病院から、お供え用のお花をいただいたのである。


お世話になったのは数か月程度なのに、大変ありがたいことである。
さっそくマサムネ君のお骨の側に飾らせていただいた。
今後も新しい家族を迎えたら、この動物病院にお世話になろうと思った。
ありがとうございました!

そして4か月過ぎて、ようやく気持ちも切り替わって新しい家族を迎えることに決めた時。
またアメリカンショートヘアを飼うか、他の種類にするか…と考えて、改めてアメショーの生態をネットで調べた時、驚きの情報が。

アメリカンショートヘアは普通の猫より短命で、寿命は10~12年である。

短命!? 寿命10~12年!?

マサムネ君は17歳10か月生きたが…とんでもなく長生きだったのか。
人間でいったら100歳超えの長寿だよね…。
それじゃあ16歳過ぎてから色々病気になっても仕方ないよなぁ、それでも病気に負けず寿命で逝ったのだから色々と大した子だったというか。
本当によく色々と頑張って長生きして、私たちに付き合ってくれたのだなと、また感謝の気持ちが出てきた。

こうなると、ちょっと同じアメリカンショートヘアは飼いづらくなるね。
どうしてもマサムネ君と比べてしまうし、寿命的に不安がある。
やっぱり私たちにとってのアメリカンショートヘアはマサムネ君だけだよ。
これからも祖母と一緒に祀っていくのでよろしくね!

おやすみなさい
ありがとう

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