やましたさんちの玉手箱
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春の野草は可憐なスミレ

濃い紫のスミレ
単にスミレというだけの名前に拍子抜け

なんとなくハート型の葉のスミレが頭にあったので、この花の葉がヘラ型なのが珍しいと思っていたのだが、よく丘陵地帯や草地で見かけるスミレの花は、アメリカスミレサイシンという外来種だとか。
そういえば、前に載せたスミレはハート型の葉だったから、アメリカ系なのだろう。

ヘラ型の葉の付け根に翼という細長い茎があり、そこから葉がヘラ型に広がっているのが特徴で、ハート型の葉のアメリカ系統とは全く違っている。
学名は「満州産のスミレ」という意味らしいので、日本原産とも言えないが、数は多くはないらしい。

スミレ科は種類が非常に多く、多年生草木として60種が自生していて、その変種が数十種もあるとか。
ネット検索では、白いスミレも多いのだが、街中の道端で見かけるのは紫系統が圧倒的。
この絵のスミレも、花色は俗に呼ばれる「菫色」で、濃い紫だ。

スミレの花の代表的なもので、単に『スミレ』と呼ばれていて、里山ばかりではなく都心の道端にも咲いている為、懐かしい気持ちに誘ってもくれる。
花色は、薄い色のものから絵のように濃いものまであって一定ではないのだが、葉の形が独特なので分かりやすいかも知れない。
車道脇のコンクリートブロックの端などから、顔を出していたりもする。
コンクリート下から伸びたスミレ

通常の5弁の花とは違って、花びらの形が左右対称で蘭の形によく似ているようだ。
唇弁と呼ばれる1枚だけ大きな花びらの奥には、白っぽい筋があるのだが、なにしろ花と同じ大きさで描くために、はっきりとは見えていない。
濃い色で分かり難いのだが筋は見えるようなので、しっかり濃淡で描き分けているはず。

下向きの硬い蕾と、半分開きかけた蕾、開いた花の3つを全て描いているが、「大中小と揃ったものをよく見つけたな」と感心してしまった。

先日見つけたスミレは、車道脇の歩道の隙間に生えていたから、絵のようなスックと立った美しい姿ではなかったし、描いた当時は環境的にもよいところで見つけたのだろう。
つぼみを横から見ると、ラッパのような不思議な形をしていて、出っ張った部分は「距(きょ)」と呼ばれるらしい。

知らなかったことに、山菜として利用されていて、葉は天麩羅にしたりおひたしや和え物にもなり、花は酢の物や吸い物の椀ダネにもするのだとか。
ケーキなどの飾りにする、砂糖菓子風なものは見かけたことがあるのだが、和風では初耳だ。
雑草の中のスミレ

ただし種類によっては有毒なものもあるとのこと、めったには食べないほうが無難。
名前の由来は、花の形状が大工道具の墨入れ・墨壷に似ているから、と一般には言われているようだが、定説ではないようだ。

近年は雑草扱いのスミレより、パンジーやビオラと言う園芸種が幅を利かせている。
でも、街中のコンクリートの割れ目からも芽吹く春の花スミレは、気を付けていれば直ぐに見つけられる貴重な野草なのだから、ゆっくりと愛でてやりたいもの。

最も道端に座り込んで愛でていると、変な人扱いはされるかも…。
花言葉は、スミレ全般が「謙虚・誠実・小さな幸せ」とその花姿のイメージのままで、「紫のスミレの花言葉は貞節・愛」なのだそうな。

西洋では理想の女性像とは、バラの美・ユリの威厳・スミレの謙虚と誠実を兼ね備えた人のこと。
この三つの花は、聖母に捧げられる特別な花とされいるらしい。
大きさや花の形が、三つまとめての花束にはし難いけれど…。
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