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７月 涼しさを部屋に ヤマホロシ 名も知らぬ一輪
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薄紫の蔓花と 濃いピンクのスラリとした花
夏になると、散歩や買い物途中の庭先で目にしていた花。
薄い紫色の愛らしい形が気になっていた。
小さな蕾は濃いめの紫で、開いた花は五片の星型、チョンと飛び出した蕊が黄色と言う憎い色の組あわせ。
しかも、日が経つにつれて紫色から白へ変化していく。
遠くから見ると、紫と白が混じり、華やかさの中に少しばかりの寂しさも感じさせる花だ。
一枝だけ伸びた先に、蕾が多い花の束が下がっている。
まだ満開には日のある若い花だ。
その生き生きした様子と、涼しげな雰囲気を出したかったので、横長に余白も充分にとった構図にした。
左半分に咲きかけの花を描き、右半分には葉の向きと動きをそのまま面白く捉えた構図は、もちろん先生の意見。
目の前に横向きに花枝を置くことに、苦労したのではないかと思う。
前にも書いたが、生きの悪い花は描けないユフィなのだから。
花色はさほど難しくはなかったが、葉の色には苦労した覚えがある。
小さな葉から右の大きな葉まで、色合いが微妙に違っているからだ。
小さな葉は若く、右の枝元に行くほどに、くねって葉先が踊り、葉裏も見えている。
左の花と小さい葉の静寂と、右の葉の奔放な動きが対照的で面白い。
描いていたときには、多分気づいていなかったと思う。
先生の意図を、こうしてじっくり眺めることで推察できるのは、不思議だし面白い。
枝は茶色ではなく、濃い臙脂色が入っている。
植物の葉や枝の色は千差万別で、一色の茶色では括れないのだが、この臙脂のような赤い色がポイントになっている。
今、手元にある絵の具では、多分「ＭＡＤＤＥＲ」と言う色を混ぜていたと思う。
少しの色合いの違いで、絵全体の印象はがらりと変化する。
見たとおりの形、見たとおりの色、画用紙の上に描き出された花は、何年経っても「そのときの声」を語りかけてくる。
この花は名前が分からなかったので、ネットリサーチをしてみた。
出てました。花の写真が。『夏 花 薄紫 蔓』でバッチリ。
「ヤマホロシ・山保呂之」「蔓花茄子」「ソラナム」「ソケイ（ジャスミン）モドキ」というナス科の植物。
蔓系の茄子に似た花、という意味の「蔓花茄子」は、なるほどそう言われればそうだ、と納得。
南アメリカのブラジルが原産と言うラテン系の花だそうで、「ソラナム」も納得の名前。
ジャスミンモドキは、なんとなく全体の雰囲気からは分かるような…。
ものすごく繁殖力が強くて、グリーンカーテンにしたいくらいに伸びるらしく、５月から１１月までという花期がジャスミンとは違うようだけれど。
『ヤマホロシ・山保呂之』は、すごく日本風な名前で、まるで日本原産のイメージだか、別種でそう称されているだけらしい。
本種のヤマホロシは、間違いなく日本原産で、ナス科。花も蔓性もよく似ているが、赤い丸い実がなるらしい。
見てみたいが、山などに多く自生するらしく、都会にはないらしい。
涼しく描かれたこの絵には『ヤマホロシ』がぴったりなのだが…。
花言葉は「真実・寂しがり・微笑」と、いかにも日本的な表現が並んでいた。
そして、もう１点の濃いピンクの花が一輪。
絵画教室２回目の作品で、色々調べたが分からなかった花。
２度目の教室の日、先生が花屋さんで購入してきたもので、多分そのときは花の名は聞いたはずなのだが…。
先生にすれば、描きやすい形と色で求めたに違いないのだが、生徒がぼんやりしていたから、花の名を書きとめては居なかった。
その後、花屋で見た覚えがない。
背丈２５センチくらいの小さな花なので、見落としているのかも知れないが…。
釣鐘形の綺麗な色合いで、チューリップの小さなもののようだが、葉の形が全く違う。
ピンクというより紫のかかった紅色で、花の内と外の色が違っている。
茎は細く、スーツと伸びた形がシャープな印象だ。
花の内外の色、花芯の黄緑、茎の伸び方と色合いの描き分け（花に近い部分は臙脂色で下へ行くほどに緑が強くなっている）、葉の形と若い緑の関係、等々が先生の狙いだったのかと、この絵を見ながら改めて思った。
2度目にしては、かなり良く見て描いていると思う。
ハイ、文字通りの自画自賛で失礼しました。
多分このとき、先生はユフィに「見たままをそのままに写して描く」方向性を見ていたに違いない。
花に比べて、葉の描き方がまだまだと言う感じなのだが…。 |
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