やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
読切
Powered by fun9.net
TOP > 和室 > 介護

老後の介護は娘にみてほしい、が本音

実際はその希望達成は1/5らしい・我が家は理想的?

先日、NHKのあさイチで「介護は誰がみる」という番組を放送していた。
街での老人達の反応は、男女問わずに「そりゃあ、娘がいい」だったけれど、実態は違うみたい。
娘なら、言いたいことが言える」という意見、でもそれが本当は大変

血がつながっているから、ぶつかることも多いのが現状。
友人が、姑との何年間かの同居の後で、実の母親を事情があって受け入れ、何ヶ月も経たずに音をあげていたから…。
言いたいことをお互いに言った結果、ぶつかることも多く、もめてしまうからだ。

他人である姑なら、「あの人は他人だし、考え方も違うのだから」と我慢したり、諦めたりできても、実の親の場合は腹立たしく許せなくなったりもする。
これは、我が家の長い経験からの話。
母が1人で築き上げた我が家は、母の城であり、でもあったので、私達家族は恐れ敬っての生活だった。

一旦怒り出したら治まらない性格で、気が強く「なんでも1番」でなくては収まらない。
母1人娘1人の生活で、1人で働いて自分の老後のために、ユフィの結婚と共に一軒家を世田谷に建て女丈夫だ。
ジャックが一番大変だったと思うが、「マスオさん」に徹していたので、直接の喧嘩はなかった。

客商売をしていたので、人付き合いは非常に良い。
家の顔と外の顔が違っているので、親族以外は「優しくて穏やかなお母様」で通っていた。
ジャックも内と外の態度が別人で、そういう意味でも、また外見も食事の好みまで似ていたので、「ユフィは実の娘ではなく嫁だ」と長い間思われていたらしい。

80歳過ぎから外には買い物以外に出かけなくなり、次第に家の中での生活が増えていった頃、ユフィに料理誌の製作の話が持ち込まれる。
膝の治療のため近くの整体医院に通院していて、ユフィが付き添っていたのだが、ある日先生から「ホームヘルパーの利用」を勧められた。
仕事を始めて忙しくなっていた頃で、先生が気が付いたのか、「あなたの体が続かない」と言われた。

母のためと自分の健康のために、医師の証明がいるのでお願いして、ヘルパーさんを入れることに…。
まだ、ヘルパー制度の始まって何年も経っていなかった頃だったと思う。
母は他人が我が家に入ってくるのをとても嫌がったのだが、気強くユフィが説き伏せてのことだった。

さきほどの話で出た姑さんを家に迎えた友人の紹介で、近くの同じ「ヘルパーサービスセンター」からホームヘルパーさんが来ることに。
その前に、区の調査員の方からの面談がある。
ここで大抵の人が、「買い物、調理など、なんでも自分で出来る」と答えたがるらしい。
調査員も慣れているので、なにげなく昔のことと現在のことを織り交ぜながら話を聞いていくので、間違いは起きない。

ただ、母は「まだらボケ」だったから、調査員の目にもそのように映っていたようで、「少し現在のことが分からなくなりますね」だったのだが、中には脚が不自由でも、頭はしっかりしている方もいらして、級数が母より下という場合もあったらしい。
そうすると、脚が不自由でも時間がかかって大変でも、ヘルパーさんの面倒を見てくれる時間が少なくなる。

2023年の改定でまた大幅に変わったらしいが、母がお世話になっていた頃にも何回も改定が続き、よくケアマネージャーが嘆いていたし、また改定に不満で辞めたりして、4人も代わった。
一人ひとりの悩みは複雑で、「よりよい介護」を目指すことが、規定の定規からはみ出すことにもつながってしまうようだ。
実際のヘルパーさんの動きには、個々の個性があって、本当は出来ないことでもサラリと何気なくやってくれたりもするのだが…。

ケアマネさんはよく変わったのだが、ヘルパーさんは固定していて、あまり代わらなかった。
母が慣れた人でないと嫌がったし、実際に態度でも示していたらしい。
ほんとうのところ、週に何回かの派遣では、その月や週によって人が変わることも多いようなのだが、「やましたさんは同じ人が良いようなので」と気を使ってくれていたみたいだ。

友人の話では、一緒に住み始めた姑さんが若い男性のヘルパーさんがお好みで、とても嬉しそうに接していてイヤだ、と言っていたが、母は逆で男性が苦手だったみたい。
手を取られるのも振り払っていたくらいで、逆に自意識過剰とユフィの目には映っていたのだが、ケアマネさんは好意的に取ってくれたらしく、男性は一度も来なかった。
私自身も男性のヘルパーさんは苦手かも知れないから、友人の気持ちは良く分かる。

その頃よりもホームヘルパーさんの数は格段に増えているように思うが、ネットなどではその差が激しいと書いてある。
我が家の場合は、ケアマネージャーもホームヘルパーも最高の水準の人たちばかりだったと思う。

一番最初のケアマネとヘルパーさんは、まずは部屋の片づけから始めてくれたのだから。
老人の癖でなんでも溜め込むから、広い部屋も狭くなってしまう。
母の場合はサンルームが大変な状態だったが、なんと2時間くらいの間に綺麗に片付いてしまった。
娘のユフィには「それは捨てては駄目」と言えるのだが、他人様には強くは言えないのだから…。

母の場合は、通院の補助と話し相手が主で、最初の頃は昼食も作ってくれたように思う。
改正が何回かあり、「できることと出来ないこと」が明確になってからは、通院と入浴の補助、部屋の掃除と整頓、服薬の手伝い、などが主だったものなのだが、実際は通院に付き添っても待合室で待つ時間は含まれなかったり、かと言って誰もいない家に帰る(入る)のは禁止なので、仕事も出来ず、かなり不便だったよう。

我が家は医院に近く、ユフィが自宅で仕事をしていて在宅していることが多かったから、帰って来て掃除などをしていたようだ。
通院の帰りは、蕎麦屋さんで昼食を摂りたがるので、一緒に食べてはいけない規則で、板ばさみになっていたみたい。
母は「何故食べないの」と怒るから…。
内緒で食べてもらったが、通院以外の昼食は弁当持参か、次の家に行く途中で摂っていたらしい。

10年以上ヘルパーさんに見てもらって、途中からは「デイサービス」にも通い、母はとても良い晩年を過ごせたと思う。
何回も同じ話をしても、きちんと答えてくれるし、ジャックに言わせれば「それが仕事、お金をもらっているのだから」と言うが、私には決して真似が出来ない。

先の「誰に老後をみてもらうか」に戻れば、実際には配偶者が50%を超え、嫁が18%、娘は17%だそうだ。
配偶者がみるのであれば「完全な老々介護」だし、嫁や娘でも長生きの老人の世話なら「老々介護」になるだろう。

我が家の場合は、先行きのことを考えて「マスオさん」を迎え、しっかり最後まで娘に看取らせた訳で、天晴れといえる。
世間の1/5の確率、しかしそのためには早くから準備していなくてはならないし、その為の二世帯住宅が「喧嘩別れ」になるという実例も多いらしいし…。

まあ、考えても上手くいくものではなし、成り行きに任せるのが一番ですか、ね。
根拠からわかる介護技術の基本
前川 美智子
中央法規出版
売り上げランキング: 13,125
老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた (新潮文庫)
三好 春樹
新潮社
売り上げランキング: 4,309
親の入院・介護が必要になったときに読む本
豊田 眞弓
日本実業出版社
売り上げランキング: 9,432
介護のための医学知識ハンドブック
高瀬 義昌 日本訪問看護振興財団
ナツメ社
売り上げランキング: 37,273
▲ページTOP