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酔っぱらい読本

吉行淳之介 編  講談社 各980円 昭和54年刊

 ジャックが所蔵している本には、四巻目が欠けている。
 なぜ無くなっているのかは忘れてしまっているが、確かに買っておいたのは確かだ。ジャックにとってはバイブルのような本だが、亡くなっている四巻目には忘れられない記事があったように記憶している。

 歌人・若山牧水に関する記事で、いわゆる呑ん兵であった牧水が、臨終に際した時、仲間や知人が集まり、酒好きだった牧水に、死に水の変わりに酒を飲ませてやろう、と口に含ませたところ、見る間に頬に赤みがさし、健康人に変わらぬ様子になった。という話だ。

 このことを、当時ある金融機関の情報誌の編集をしていた私が、担当者にしたところ、“また、冗談を本当のことのようにいうジャックさんらしい話”と真に受けくれない担当者。で、次の取材地を宮崎県にしよう、牧水記念館があるから、本当かどうか確かめよう、と、その頃はいい時代でしたよ、そんなことで次号の企画が通ってしまうんですから。

 そして、日向市の牧水記念館、ありました。当時の新聞記事が、そのまま残されていました。内容は簡単なものでしたが、ほぼ私が説明したとおり。担当者はしばらく、資料の前から動きませんでしたから。
 その後調べたところによると、牧水が死んだのは夏の盛りだったにもかかわらず、死んでしばらくたつのに、いわゆる死臭というものがせずに、“これは、体全体に酒が回っていて、防臭の効果にかかわっているのでは、と地元の医者が不思議がっていた”というものです。

 かの国の偉い二代にわたる人が、永久保存されているという話も、もれ聞いていますし、最近ではベネズエラのチャベスさんも永久保存されると聞きました。どんなふうにするのか見当つきませんが、チャベスさんの記事を読んで、実は昔の牧水のことを思い出し、古い本があるのを思い出して、引っ張り出した次第。
 
 四巻目は機関誌の編集担当者に読ませようと思って、貸したままになっていたような気もしているのです。
 さて、ジャック、まだもう少し先だけれど、やってみるかね。
 今呑んでる酒は、たいしたものじゃないから、そうだね、その節はモンゴルウォッカにでもしてみようかな。
よっぱらい

酒飲みのための名著といえば、もう一つ、というか、これ一つ。『酒呑みの自己弁護』 山口 瞳 著  新潮社  昭和54年刊
 全巻は、エピソード的、こちらはマナー的、同じ年に、酒に関するこれ以上ない名著が出てるなんて、なんて幸せな時に読んだのでしょうね。
酔っぱらい読本〈1〉 (1978年)

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酔っぱらい読本 (講談社文芸文庫)
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