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本の整理で 大失敗  「もったいない本舗」 にて

 最近、消費生活センターに届けられる苦情の多くが「高価買取」を謳った業者に、貴金属や衣類などを送ったのに、驚くほど安い値段しか付かなかった、“これは詐欺ではないか”と言ったような相談ごとなんだとか。
 ジャックは当サイト、ニュースに一言でも書いたことがあるんだけれど、詐欺、と言うものには、被害者の方にも、何らかの不注意がある、と思われることがあるのですね。「高価買取」に対しては所謂「スケベ根性」も発生するのです。ジャックの本の始末も、この例に漏れることのない物だったので、いかにという顛末を紹介する次第。

 
 それより以前、この事例に当てはまるようなことを、ユフィが体験していました。ユフィの母が死んで、遺品の始末を少ししていたところ。義母はかなりの和服を所持していました。不用品とするにはもったいない、と思われる商品もあった様で、検索の結果、金沢にある業者に処分を任せることに。送られてきた専用の細長い、和服専用のダンボール二棹に詰めて送ったところ連絡があり、なんと全部で1.000円程度(だったと思うんだけれど)ということで“それじゃあんまり”と、送り返してもらい、法事で顔合わせたユフィのいとこに話したところ、“おばさんのものだったら是非貰いたい”と、踊りを習っていた彼女に喜んで貰ってもらったことがあったのです。
 こうした処分の仕方が、いちばんすっきりして、気持ちのいいものだ、と言うことは、私達の中でも共有できていたことがあったのです。

 本の話の前にもう一つ、ジャックの引越しにかかる不用品の処分で気にかかっていたものは、本と植木と、さして高級品はないんだけれど、衣服もかなりいろいろあったのです。仕事を含め、プライベートでも海外旅行が結構多かったのです。私はどちらかと言うと「着道楽」、車の運転もしませんし、ゴルフもやりません、お金はひたすらお酒にかかっていたのでしょう。それでも女性のいる飲み屋は敬遠、友人と何回と無く行った店もあるのですが、なにせけっこうな量を女性に飲まれた挙句、高い料金取られて、もったいない限り。お酒にはケチな私はあるときから、「飲み屋は女性抜き」を貫いたものです。
 
 で、ハワイではTシャツやブルゾン。台湾や香港では面白いガラのシャツ、ベトナムやトルコでは変わり柄のパンツ、ヨーロッパでは帽子やネクタイ、オーストラリヤやニュージーランドではコートやセーターなどなど。地元でも、下北沢でインポートの店を経営する居酒屋友達のバーゲンなどを利用して、楽しんでいました。
 処分については、自宅前の「無料ガレージセール」で大半のものは誰かに貰っていかれ、少しマシなものは実家に住む甥っこに貰ってもらって、気分のいい処分になったのです。

 さて、本題の本。はっきり言って大失敗。

 引越しに関して、ジャックの心配は、植木と本、でした。植木に関しては、当サイト、引越しテーマでユフィが書いており、また、「庭」テーマの引越しにあらかた書いているので、そちらを。
 本をどうするか、実は踏み切りを挟んだすぐのところに古書店があり、淡島通りまで出ると、別の古書店もあるのだが、何しろ数が多い。できれば、まとめて処分したい、と考えたのが動機でした。
 サーヤがネットで見つけてくれたのが、以下に紹介する所。「“もったいない”本舗」なる業者でした。細かい説明は、読める程度のパンフレット参照。ちょっと心動かされたのは、取引業者にアマゾン、の名があったこと。いわずと知れた、古書販売・ネット販売しているところ。ある程度の査定はおこなわれる、と思ったこと。ちよっと心配だったのは、「査定」。商品到着後2日以内に査定結果連絡。ということ。ただし「自動承認」希望の場合は、振込みで確認と言う点。ジャックが予定している書籍の数で、そんなに早く査定が出来るのだろうか、という点でした。
 


 ジャックは本を買う場合、ほとんど、書店でカバーを貰い、本表紙をはずして、書店カバーに付け替え、読み終わったあとで本表紙にまた変えて本箱に入れるのが通常でした。だから、積んでおくうちに頭の部分に埃が乗る以外は「新品同様」なのです。
 捨てるのは、まあ、小説は読み返すことは無いだろうとして、中心に。ノンフィクションも、資料性のあるもの以外は捨てることに。昔から、資料として保存しているものは、かなり古いものでも、引越し先に持っていくことにしたのです。

 こうして、第一陣に詰めたのが、ハードカバーの小説(ほとんどが海外ミステリー)などダンボール5個。第二陣は文庫本主体にダンボール5個の計10個。先にも書いたのですが、多少のスケベ心で、それぞれ1万円位は手に入るだろうとお待ちしたのです。

二回に分けて発送した宅急便の伝票、10箱分。

結果、それぞれ5箱で1.000円ずつ。眼鏡かけなおして、振込みのあった通帳、眺めてましたね。

あまりお見せしたくない通帳だが。


それから3ヶ月ほとたった日に、本の買取の記事。アマゾンだが、まあ、まとめて面倒見たよ、とはならない方式かも。

 次にやったこと、既に荷造り始めていたサーヤに言って、送るのストップ。サーヤの本の始末の次第は本人に任せることにしますが。ちょうど自宅前でガレージセール(全て無料)やってる時で、近くの酒屋の旦那がジャックの帽子とショルダーバッグ漁りに来ていたので、顛末話したら、下北沢の漫画書店に持っていくこと教えられ、以後、こちらに任せることになり、サーヤはかなり稼いだのであります。

 死んだ子の歳を数えても仕方が無い、とは言うものの、さて、私はどんな本を読んでいたのか、目録を作っていたわけでもないので、思い出すまま、死んだ子の数を数えることに、以下紹介する次第。このリスト作るにあたって、作家別や作品別にネットで調べてみたものもあるのですが、現在も古書として販売しているものもあって、まあ、一つ一つ、値段を調べてみるなんていう、ケチなことはやめましたが、以下にずさんな商売の“もったいない”本舗だったか、改めて思い知らされることになりました。

 まず、書籍・ハードカバー作品
○フレデリック・フォーサイス
 「ジャッカルの日」「オデッサファイル」「戦争の犬たち」「ネゴシェイター」
 ・ジャックがそもそも海外ミステリーを読み始めた最初の頃の作品。「ジャッカルの日」は映画化もされ、シャルル・ドゴール首相暗殺を狙う「ジャッカル」と言われる男と、追うパリ警視庁のルベル警視の物語。
○アンドリュー・ヴァクス
 「フラッド」「赤毛のストレーガ」「ブルー・ベル」など7作品
 ・前科者の探偵バークとその仲間の物語。ママと呼ばれる中華料理店の老婆を連絡係りとして、聾唖で武道の達人、性転換の美女、天才発明家と、バークの愛犬で護衛役の巨大なナポリタン・マスチフが登場するニューヨークの裏町舞台のアクション。
○ローレンス・ブロック
 「倒錯の舞踏」「獣たちの夜」「墓場への切符」 など
 ・探偵 マット・スカダーシリーズ。主人公は禁酒の会に日参している風変わりな探偵。恋人は高級娼婦のエレインでハイスクールに通っている。この人のセリフ“女学生が娼婦になったら問題だけれど、娼婦がスクールに通うっていいんじゃない”という言葉、時々使わせてもらっている。
  この他、文庫、ポケットミステリーなどで「殺し屋ケラー」のシリーズ、「泥棒バーニー」 シリーズ、「眠らないタナー」のシリーズなど多数。
○ピーター・ラヴゼイ
 「最後の刑事」「バースへの帰還」「猟犬クラブ」「地下墓地」「漂う殺人鬼」など。
 ・100キロを超える巨体のダイヤモンド警視の話。
○ジョン・グリシャム
 「法律事務所」「ペリカン文書」
○ジェフリー・ディーバー
 「ボーンコレクター」「コフィン・ダンサー」「ウオッチ・メイカー」「エンプティ・チェアー」「スキン・コレクター」
 ・四肢麻痺の捜査官、リンカーン・ライムのシリーズ。
○ロス・トーマス
 「黄昏にマックの店で」「女刑事の死」「神が忘れた町」
○スコット・トゥロー
 「推定無罪」「立証責任」
○アーナルデュル・インドリダン
 「湿地」「緑衣の女」
 ・近年、注目を集めている北欧を舞台にしたミステリー。舞台はアイスランド。
  近作「声」「湖の男」は在庫。

 文庫
○R・D・ウイングフィールド
 「クリスマスのフロスト」「夜のフロスト」「フロスト気質」「冬のフロスト」
 ・全て800ページにならんとする長編。一作書くのに3年にほどかかり、翻訳に3年ほどかかる作家。巨体、汚いコートとマフラー、タバコ、下品な言葉使いが魅力の刑事。全3作は文春の40年間のベストワンにランクインしているほどの名作。4作目の後書きに作者死亡していて、最後の作品が翻訳中とあってから3年、待望の「フロスト始末」刊行。これはジャックの本箱に納まっている。
○マイクル・コナリー
 「ナイト・ホークス」以下
 ・刑事ハリー・ボッシュシリーズ全17巻
  最近の「転落の町」「ブラックボックス」は本箱に在庫。
○トマス・ハリス
 「羊たちの沈黙」「ハンニバル」「レッドドラゴン」「ハンニバルライジング」「ブラックサンデー」
 ・羊たちの沈黙はジョディ・フォスタター主演で映画化され話題に。ハンニバルはアンソ ニー・ホプキンス主演で映画化、いずれも話題作になった。
○パトリシア・コーンウェル
 「検視官」以下
 ・検視官スカーペッタシリーズ、数刊。
○ドン・ウィンズロー
 「カリフォルニアの炎」「サトリ」「シブミ」「夜明けのパトロール」「フランキーマシーンの冬」「犬の力」
 ・多作だが、どれもその年のベストミステリーにランクインされる作家。特に犬の力は、 コロンビアと、メキシコにまたがる麻薬戦争を扱った長編。
  近作「失踪」「報復」「ザ・カルテル」は在庫。最近作は「ダ・フォース」。
○ジョン・ハート
 「ラストチャイルド」「アイアンハウス」「川は静かに流れ」「終わり無き道」
○イアン・ランキン
 「黒と青」が初作。
 ・スコットランドのエジンバラを舞台とした、リーバス刑事のシリーズ全作品。 
  近作の「他人の墓の中に立ち」「寝た犬を起こすな」 は在庫。
  いずれも、ハヤカワ・ポケットミステリーシリーズ。
○ユッシ・エーズラ・オールセン
 「特捜部Q 檻の中の女」以下、特捜部Qシリーズ。「キジ殺し」「Pからのメッセージ」「カルテ番号」「知りすぎたマルコ」、など全作品。
 ・デンマーク、コペンハーゲン舞台、未解決事件解決のメンバー、カールと中東出身のアサド、姉妹が入れ替わる不思議な捜査員ローセのコンビが面白い。いずれもハヤカワポケットミステリ。
  近作「吊るされた少女」「自撮りする女たち」は在庫。

 ノンフィクション
 ・ノンフィクションは、書籍の特色から、ある事象・事件などを多角的に検証したもの。従って、事件などからかなり時間経過が過ぎたものが多く、発行された時は、事件そのものが風化されかかっているものも多く、記憶に薄れがちなものもあります。しかし、そうした中で、改めて事象・事件を見つめなおす、という意味では、歴史を記憶するという意味で、貴重な書物だといえます。
  従って、“読み返すことも無いだろう”と処分した本とは違って、余裕があれば保存しておきたかったものもあるのです。ここでは、ノンフィクションとして忘れられないいくつかだけ、記載することにします。
○柳田邦夫
 説明するまでも無いノンフィクション代表する作家。
 「空白の天気図」
  広島に原爆が落とされた日の広島気象台から、一日だけ気象記録がなくなった、という前後を検証したもの。
 「撃墜」
  大韓航空機がサハリン沖で旧ソ連の軍用機によって撃墜されたことを検証したもの。
 「犠牲」
  作家ご自身の、高校生になった子息が自死したいきさつを綴ったもの。
○本田靖春
 ・私がノンフィクションを読み始めるきっかけとなった作家。
 「誘拐」 
  [吉展ちゃん誘拐事件]の発生から、犯人逮捕までの記録。
  [疵 花形 敬とその時代]
  ハナガタ ケイの読み方から、自ら[鼻が高い]といったハンサムだったやくざの生き様。当時、プロレスの大スターだった力道山を喧嘩から刺し、死亡させたとして有名になった。
 [不当逮捕]
 
○自衛隊に関するもの
 ・今、憲法改正などで、改めて自衛隊が何かにつけてアップされています。杉山隆男氏 の自衛隊ルポの労作は、処分したのが未だに残念なのですが、過日、実は当サイト「  書斎 本 ノンフィクション」の自衛隊員とは、どんな人たちなのか(東北大震災で)に詳しく掲載しているので、是非見ていただきたい。
 「兵士に聞け 最終章」
  陸・海・空 そして東日本震災時の自衛官の活動を追ったシリーズの最終章として刊 行されたもの。主として南西地区で活動する自衛官のルポ。事象柄、前回までの写真取材が許されず、自衛官本人へのインタビューもかなわず、初めて作品に「検閲」が入った、というだけで、却って現場の緊張が伝わってくる作品。本箱に在庫です。
  
○狭山事件に関するもの
 ・犯人に特定され、服役を終えている人間への冤罪が今でも訴え続けられているもの。これは当サイト「書斎 本 ノンフィクション」の狭山事件 50年 カズン真実を待つに紹介しているので、是非ご解読を。現在本箱に在庫しているのは[鎌田 慧 著  狭山事件 石川一雄 41年目の真実]。

○増田俊也
 「木村政彦は なぜ力道山を殺さなかったのか」
 ・出来れば持って来たかった、と、少し後悔しているノンフィクション。上下2段組、700ページを超える大作。
  一言で言えば、柔道家、木村政彦を中心に添えた柔道の歴史書。ジャックには関係の無い世界なのですが。
  “木村の前に木村無し、木村の後に木村無し”と言われたほどの強者。木村に大外刈りをかけられた相手のほとんどが、畳に打ち付けられて気絶した、と言われたほど。
  当時の柔道は、現在のように立ち技の一本勝負ではなく、寝技の勝負が通常で、時間で押さえ込みという試合は無く、相手が“参った”するまで続く激しいものだった。旧帝国大学七大学で主流だった。現在「ビッグコミック オリジナル誌」の[七帝柔道記]で原作連載されている。
  海外にも広めようと、ハワイからブラジルまで遠征。ブラジルでは、後に世界の格闘技の王者といわれたヒクソン・グレイシーなどを育てた。
  後、プロレスに転向、人気絶頂だった力道山と対戦、「プロレスの巌流島」といわれ、当時のテレビ視聴率100パーセントという伝説を残した試合。木村は“何らかの演 出”を想定したが、開始直後から力道山のいきなりの猛攻で、血だるまでノックアウト。以後柔道界から「負け犬」の汚名を背負うことに。力道山に、いかばかりの怨恨を感じていたか、が書名か。上記したように、力道山はその後、やくざとの喧嘩で刺され死亡する。
  ジャックこのテレビ、兄の友人宅まで電車に乗って見に行った。今でも覚えてる。
  

 ・処分出来ずに本箱に在庫しているものがあるので、最後に紹介しておきます。
 

○転居してから揃えたエッセイなど。



引越し直前の本棚に残したもの。

最近の本棚

捨てきれずに引っ越してきた古い本
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