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夜のどうぶつ救急診療TRVAに駆け込み

マサムネ17歳。
膀胱炎がきっかけで二年前に腎不全であることがわかり、昨年は膀胱にポリープ(腫瘍)があることもわかってしまった病気持ちの老猫。

昨年の冬は食欲もなくなりフラフラして寝たきりの状態になった時に焦ったが、急変ではなく徐々に衰弱している感じだったので覚悟を決めつつ通院してみたら三回の点滴で回復できた。
いま思うと、持病や症状からして「脱水症状」を起こしていたと思う。自分も脱水で数回ダウンした経験があるからわかる。
だから点滴で回復できたのも今では納得である。腎不全は脱水症状を起こしやすいのである。

ポリープは、その数か月後にまた血尿が出たことでより詳しい検査をしてもらった時に発覚した。
これで腎不全とポリープの二つの病気持ちとなってしまったわけだが、ここで難しい判断となる。ポリープの進行を抑える投薬は腎臓に負担をかけるので、どっちをとるかのさじ加減となってしまうわけだ。
それで定期的に血液検査・超音波検査・尿検査を受けながら、投薬の量とタイミングを調整していく治療法を1年近く続けてみた。

少しずつ体重が減っている以外は、特に問題なく日常生活が遅れていたのだが…。
2016年3月下旬に検査を受けた直後に、容態が急変したのだった。

検査を受けるときまでは問題なかったのに、帰宅してから急に様子がおかしくなった。
オシッコする時にいつも以上に真剣な顔をして踏ん張っている様子が最初だった。
それが頻繁な数になり、いつものトイレシートの場所ではなく、ところ構わず踏ん張ってチョロチョロとオシッコをするようになり、これはおかしいなと思い始めた。
それが次第にろくに寝ずに、息遣いも激しくなり、起きている時間はずっと踏ん張ってオシッコしようとしている様子に「こんな状態を続けたら疲弊して倒れてしまう」と家族みんな焦り始めた。

その時は日曜の夜で、サーヤは月曜に休暇をとっているので夜が明けてから病院に連れて行くかと考えていたが、マサムネの症状が悪化する一方だし、ネットで調べてみたら「オシッコがなかなか出ない場合はすぐに病院に連れて行くべき」と書いてあるので不安になった。

かかりつけの動物病院に電話してみたら、すでに診察時間は終了しており夜間救急病院への案内がかえってきた。
どのみちこのままでは心配で家族も眠れないし、マサムネも辛そうだし、というわけで行くことにしました、夜間救急動物病院。

以前に飼っていたマルチーズの頃からのかかりつけ動物病院は世田谷区太子堂の「アマノ動物病院」。
年中無休でやっているが、夜間は桜新町(世田谷区深沢)にあるTRVA夜間救急動物医療センターへの案内が出される。
東京都の中央区、港区、渋谷区、品川区、大田区、目黒区、世田谷区、杉並区で活動する42の動物病院が共同で運営している動物向けの医療施設であり、昼間は1階で「動物健診センターキャミック」という名称で、夜間は2階で「TRVA夜間救急動物医療センター」という名称で運営しているようだ。

まずは電話で症状を伝え、連れて行くべきどうかを相談する。
夜間は割増料金がつくが早く診た方が良いということで、母と一緒にタクシーに乗って向かうことにした。21時くらいだった。
電車では不便な場所にあるし、施設が公道の道路沿いにあるので車やタクシーで行った方が効率が良い。

……と思ったのだが、非常にタイミングが悪かった。
普通なら10分くらいで着くのに、異常な渋滞に巻き込まれて到着に一時間近くかかってしまったのだ。タクシー運転手も「この道路は今まで走ってきた中で経験にない渋滞です」と言っていた。どうやら事故か何かがあったらしい。

ようやく到着したところ、非常にわかりやすく目立つ場所にあった。
大きな看板も出ているし、一階全体がガラス張りで明るく、玄関前に救急車についているのと同じようなランプが点滅しているので一発で「ここだ」とわかるようになっている。
慌ててペットを連れて初見で駆け込むにはありがたい親切さである。
ちなみに近くに専用駐車場が4台分あるので、車で連れて行くのも可能。



夜間は二階で行っているので、階段を上り待合室に出る。
わりと広い空間で、三組ほどの先客が居た。電話した時でも今の時間は混んでいるという回答だった。まぁ日曜の夜だしね。
受付に行き、問診票を手渡される。この問診票が人間用以上に項目が多くて細かい。


先客の三組のうち、二組は同じコーギー犬の診察だった。夜間に駆け込む必要があるのかな?と思うくらい、元気で綺麗な犬。
もう一組が夫婦と中学生くらいの息子二人のなんと四人家族。息子の一人が抱えているのはダックスフント。よほどに具合が悪いのか、よほどに心配なのか、緊迫した様子だった。ずいぶん可愛がっているんだね。私たちの診察が先に終わって帰ったので、あのダックスフントの結果がどうなったのかは知らないけど…。

マサムネの番がきて、診察をしてくれたのは若い女性獣医師。
お腹を触診したところ、膀胱は尿でパンパンになってはいないとのこと。しょっちゅう踏ん張ってちびちび出していたから溜まってはいなかったようだ。
膀胱炎と思われるとのことで、検査をするためマサムネを預けて待合室で待機。

その間に、隣の小会議室っぽいドアが開き、泣いている二人が段ボール箱を抱えて出てきて病院を立ち去った。
…察するに、死んでしまったんだろうな…夜間救急病院だとこういう場面には遭遇しやすいのだろう。

尿検査と超音波検査の結果が出て説明を受ける。
やはり膀胱炎だった。超音波の写真には膀胱の中に小さな塊が見えるとのことで、結石があるかもしれないが、小さいので心配しなくていいレベルらしい。
膀胱が細菌に感染している可能性が高いとのことで、抗生物質の注射と点滴をしてもらうため、また預ける。
終わってマサムネを抱いて連れてきてくれ、「おりこうさんでした」とほめていただいた。マサムネは肛門への体温計や首根っこへの針を受けるときに抗議の「ニャー!」は言うが暴れない大人しい子である。

診察の結果、緊急を要する状態ではないので、あとは昼間にかかりつけのアマノ動物病院に通院で良いとのこと。
アマノ動物病院と夜間救急病院はカルテを共有できるシステムなので、夜間救急病院の診察を受けたことと領収書をアマノ動物病院に見せればいいらしい。
このシステムは動物病院がTRVA会員になっていることが条件なので、かかりつけの動物病院がTRVA会員になっているか確認しておくと良いね。
かかりつけ動物病院がTRVA会員でない場合は、カルテを提供してもらうことが可能なので、カルテを必ず受け取ろう。

さて、そのアマノ動物病院に見せるように言われた領収書がこれ。

どんな検査を受けて、どんな薬を使ったのか細かく書かれているので、一般人でもネット検索で調べることができるので良心明細というやつだね。

ひとまず安心してマサムネを連れて帰り、翌日にアマノ動物病院に連れて行き、そこでも注射と点滴を受けてもらう。
この日から数日間、マサムネは呼吸が非常に激しく疲弊している状態だったので、このまま死んでしまうかも…と非常に危惧していたが、抗生物質が効いてきたのか徐々に回復してきてホッとした。
回復する段階においても、高齢であることから完全に元通りは無理だろう、ある程度の介護が必要になるかも…と思ったのに、完全に元通りになった。

お茶の時間にめざとく気づいておねだりするし、料理していると台所に出没して足にまとわりつくし、深夜3時にジャック父を叩き起こすし…以前は「まったくもう!」な迷惑行為だったのが、今となっては「元気だねぇ~」と嬉しい行為になってしまった。やはり元気なのが一番うれしい。

去年といい今回といい、死んでしまうか?と非常に心配させられたが、元気に回復するから人も動物も生死はわからないものだ…。

今回の件で、腎不全がさらに悪化しているのがわかったし、ポリープより腎不全の症状の方が心配だからポリープの投薬は中止になった。
今は腎不全の食事療法に切り替え、腎不全の投薬を始め、自宅点滴にしていくことで元気な状態を保てるように努力することにした。どうせ金払うのは私だし!

そんなわけで、腎不全の投薬と自宅点滴についてまた記事にします。
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