やましたさんちの玉手箱
ジャックの記事
連載
01 生まれて半年の投了 猫の隔靴掻痒
02 猫も 「世界ネコ歩き」が好き
03 カエル じゃないよ アムールだよ
04 私しゃ も少し 背が欲しい
05 ねこ のんじゃった ?
06 ある日 スズメがやってきて
07 胸焼け 生野菜食いたい
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ベンガル猫アムールのある日その時

01 生まれて半年の投了 猫の隔靴掻痒(かっかそうよう)

 ボクは、ベンガル猫のアムール。
飼い主はサーヤお姉ちゃん、家族はユフィお母さんとジャックお父さん。
 この家に来るまでのことや、人生の大仕事の去勢手術を受けたことなどは、「リビング」のページ「ベンガル猫アムールの去勢手術」にお母さんが詳しく書いてくれているので見てほしいのですが、ボクの気持ちも少し分かってもらいたいので、それはジャックお父さんに時々書いてもらうことにします。初めは、その、去勢手術のあらましからです。

 この家に来てから初めて出かけたのは、手術のための検査のために動物病院へ行ったときの事。先生は“タマが出ているから手術は簡単です、麻酔でやりますが20分くらい、ただ術後の様子を見るのでお迎えは夕方に”と言うことだったようです。

 玉(王)を取られてしまうことを、将棋の世界では「詰まれる」と言うそうです。逆は「詰む」です。詰まれると「投了する」と言って負けになるのだそうです。今話題の、藤井聡太四段は29連勝の後で初めて投了となりました。14歳のことでした。でも、ボクが「投了」となったのは、たった6ヶ月のことでした。(ちょっと話のラベル、じゃなかったレベルが違うような気がしますが、ジャック父さんは冗談が好きな人なので、この後のボクの話も少し脱線することがあるかもしれませんが、そのつもりで)


まったく、うっとうしい

 このカラー「エリザベスカラー」と言うそうで、イギリスの16世紀エリザベス朝の頃、高貴なご夫人たちのドレスの襞襟として使われていたことから名付けられたそうです。だから、生後半年のボクには似合うはずがないのですが、手術の後、男の子は傷口を縫わないので、どうしても傷が完全に治るまでの4日間は付けなくてはいけないのだそうです。
 カラーを付けた様子は、お母さんが書いた記事に詳しいので見てください。と言うわけで我慢していたのですが、さすがに3日目位になったら、耳の周りが痒くなって足で掻こうとしたのですが、カラーに邪魔されて、カリカリと音を立てるだけで痒いところに手も足も届きません。こうした状態を人の世界では「隔靴掻痒」というのだそうです。靴の上からでは痒いところが掻けない、という意味だそうですが、なに靴を脱ぎさえすれば、すぐに手が届くわけです。でも、ボクは自分ではずせません。

 何回かカリカリをやっていたらジャックお父さんが“うるさいなあ”と言いながら、カラーの脇から手を入れてソリソリソリソリ、と指先で耳の後ろを掻いてくれました。こんなに気持ちがいいのは久しぶり、お父さんの手のほうへ段々と頭がかしいでいって、コツンとカラーが床に当たって、カラーをしているうっとうしさを思い出してしまいました。

 4日目の夕方、カラーをはずしていいか先生に電話で聞いてもらったら“念のためもう一晩”と言われてしまったようなのです。だから翌日の朝お姉ちゃんの膝に乗せられたときは何をされるか心配でしたが、お父さんがカッターで切ってくれて、手で久しぶりに耳を掻いた時の快感は、とんでもなくいいものでした。でも、この快感は一度だけ、生後半年の時しか味わえないものだから貴重な体験です。

 もう二度とカラーをすることは無いと思うのですが、ケガをしたりすると、またお世話にならなければいけないので、注意しなければいけません。でも、大人になったとき、万一そんなことになったら、サーヤお姉ちゃんに頼んで「エリザベス調」のおしゃれなカラーを買ってもらおうか、と考えています。

 やってられない、寝るっきゃない
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