やましたさんちの玉手箱
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キキョウの蕾の涼やかな立ち姿

桔梗の蕾が二つ
ほんのり紫をつぼみに添えて

キキョウ・桔梗は、秋の七草に歌われているから、7月ではまだ早いという印象がある。
ただ、秋の七草は万葉集に歌われているのだから、月遅れで計算すると早すぎではないだろう。
「朝貌の花」と植われているが、現在の朝顔ではなく、桔梗のことだとされている。

絵の花は膨らんだ蕾と、まだ硬い蕾なので、7月でも良しとした。
実際に描いたのは、6月始め頃と記されているから、見つけたのは咲き始めの頃か。
殆どが緑一色で描かれていて、細い枝の茎との付け根にほんの少しの赤みがさされている。

膨らんだ蕾の花びらの合わせ目には、薄い紫の線が放射状にわずかに入れられていて、桔梗の濃紫の花が想像できるのだが、蕾の状態では花の姿は想像できない。
ぴったりと合わさったこの状態から、英名では「バルーン フラワー」と名づけられているらしい。
鉢植えの桔梗
近所の鉢植えの桔梗 横向きに咲く花と天を向く蕾

徐々に緑から紫に変わり、裂けて星型の花になるのは6~9月頃とのこと。
緑の色は何色使用しているのか、6色から7色のようで、基本の緑色をまず作り、少しずつ水や黄などを混ぜながら色味を近づけたのだろう。

茎と蕾は浅い緑で、ガクと上方の葉は若い緑だが、実際の鉢植えとの色合いが違うから、見比べはできない。
濃い緑の葉は、ユフィ特有の白く葉脈を残した塗り方で、後から薄緑をさしている。
細かな葉脈は描き切れなかったのか、写真でも判断ができない細さのようだ。

蕾の花びらの合わせ目は、鉛筆の下書きの線をそのまま生かしている。
ここまで細くては、筆先では難しかったのだろう。
全体の大きさも20cm程度の小品で、忘れられていて、飾ることの少ない絵でもある。

この花、日本全土・朝鮮半島・中国・東シベリアに分布しているが、絶滅危惧種なのだそうだ。
根にはサポニンという生薬を多く含むので、漢方薬として使用されているらしい。
去痰、鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱作用があるとされていてる。

歴史的には、明智光秀の家紋・桔梗紋が有名で、安部清明が使用した五芒星を桔梗印とも呼び、現在の晴明神社では神紋とされているようだ。
自生する株は減少していて絶滅が心配されているが、園芸種も多く出回っていて、白い花もあるのようなので、見られなくなることは無いだろうう。

花言葉は「永遠の愛」「誠実」「清楚」「従順」だそうだ。
英名の〈バルーンフラワー〉では、この花言葉は合わないから、日本的な花姿と花言葉は、『やはり 万葉の昔からの日本の花だ』と感じる
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