やましたさんちの玉手箱
ジャックの記事
連載
『今』の時々の言葉、風潮をジャックのアマノ的考察で、都度、刻んでいく。
TOP > ジャックの部屋 > 現在刻語事典

現在刻語辞典 其の十三
恍惚の PCR検査

ある人は、思わず、頭を、仰け反らせ
ある人は、手をにぎりしめて、対抗しようとし、
ある人は、助けてくれ、と言わんばかりに、思わず、看護師に手わ伸ばしそうになる


 ニュースのPCR検査の様子で、鼻の中に『スティック』(医学用語で何というのかは知らないが)を差し込まれた時の様子を見ていると、こんな人たちが見て取れる。いったい、どんな表情をするのが正しいのかは、やってみなくては、分からない。やっみたくはないけれど、やった方がいいのかもしれないが、進んで、やりたいとも、思わない。
 でも、結局、やらざるを得なくなった、ジャックの検査報告。



 事の発端は、2020年、12月11日金曜日のこと。この日、午後から体がだるく、夕方になって何か熱っぽくなってきた。普段、あまり熱など出したことがないし、一晩眠ればよくなる「性質(たち)」なので、風呂は敬遠、食事もパス、お酒も遠慮、ただ、体が火照った感じなので、ビールだけはいただいて、早めにベッドへ。しかし、当然だが、すぐに熟睡、と言う訳にもいかず、グズグズ。

 10時半過ぎだったようだが、サーヤが様子を見に来てくれた。“お父さん、顔が真っ赤だ、熱計らなきゃ”と。私は、大丈夫、と言ったのだが、ユフィもやってきて“熱、計らなきゃダメ”と。日頃、問題が起こって賛否を問うことがあった時、我が家では、女性二人の意見に異見を述べることはほとんどない。で、言われたとうりに。“お父さん、38度6分もある、大変だ、救急車呼ぼう”と言う次第。有無を言わさず、ユフィが119番通報(実は、我が家10月初めにユフィが激しい眩暈を起こし、119番通報、この日は診察で済んだか、一週間後に再度の眩暈で二度目の119番、この時は1週間の入院と相成ったのだが)。

 と言う訳で、救急車を呼ぶ時のノウハウは事前に出来ていたので、ユフィの通報はスムーズ、住所、電話、患者の性別、年齢、症状など説明。サーヤは、私の保険証、薬手帳、財布など確認。私は、と言えば、まさか外出着に着替えるのもどうか、と思い、パジャマの上から冬用の作務衣を着込んでスタンバイ、なにか、熱も下がってきちゃったみたいだし、頭もすっきり。けれど、中止するわけにもいかず、待つ事暫し。こんな時に限ってなかなかサイレンが聞こえない。5分もしたか、マンションの前に、今度は玄関を開錠したがなかなか上がってこない。後でわかったことだが、ストレッチャーを入れるために2台のエレベーターの一台に、開錠して奥にスペースができるようになっているのだが、これに手間取っていたみたい。実際に運ばれるとき、今度は施錠するのに手間取って、隊員の一人が“グズグズするな”なんて怒られてた。

 結局、ここでも5分位かかったか。心臓か脳だったら、ここでアウトになっていたかもしれない。部屋の入口、“患者さんはどなた”と言うので、私“はい”なんて、手を挙げちゃった。救命士の隊員が問診“咳はありますか、味覚がおかしいことありませんか”と。そして“発熱外来が開いているところがありますから、そちらに向かいます、住吉のアソカ病院と言います”。「ああそうか」なんて、心で洒落ている場合じゃない。素直に、お願いします。(社会福祉法人 あそか会 あそか病院、が正しい名称)。“病院混んでいて、今診療中の患者さんがいるようなので、救急車の中で少し待ってもらうかもしれません”と言うことで出発。病院まで10分ほど。車内でさらに10分ほど待たされる。まあ、熱くらいなら、そのくら放っておいても大丈夫、ということか。車椅子も初体験で診察室へ。

 年配の医師と太めだけれど、優しそうな看護師。救急隊員から報告受けていたとみえ、問診なし。いきなり“抗体検査やろう”看護師“はい”と言ったがすぐに“だめだ、熱が高いから、今やると陰性になってしまう”。なぜ、熱が高いと陰性が出るのか、いつもの詮索好きなジャックだったら聞き返すところだが、今はその場ではない。
 続いて、“解熱剤3日分出します、帰ったらⅠ錠飲んで、明日の土曜日熱が下がらず調子が悪い様だったらもう一度救急車呼んでください、その時奥さんは一緒に乗らないでタクシーで来てください。熱が収まるようだったら週明けに検査しましょう”で、ここまで。12時近かったのと、幹線道路の三つ目通りまで距離があるからと、タクシー呼んでくれた。事務員と看護師がタクシーまで付いてきてくれた。運転手に看護師さん“発熱の方なので少し窓開けてください”と。運転手、ちょっとビビったんじゃないかな。

 翌日土曜日、朝8時に検温したがまだ8度あり。とりあえずパジャマのままベッドでゴロゴロ。12時に検温、6度台まで下がる。3時検温、同じ6度台、体調も戻った感じ、その後3時間おきくらいに検温したが全て6度台に。日曜は家で落ち着いて月曜、検査に行くことに。

 月曜、タクシーで病院へ、8時半すぎに到着。昨日と同じ待合所へ。気が付いたらここは駐車場の隅、検査室への扉(病院からすれば裏扉)のところにビニールのカーテンで仕切りのある一角、さらに数客の椅子の間にビニールの仕切り、要するに『外』だ。後で何時もの医者に聞いたところでは病院のほとんどがこうした方法をとっているとか。要するに発熱患者は院内には入れない原則なんだろうということ知った次第。 
 発熱患者が待っている間の2分位で数名になる。みんな寒そう、ジャックは問診票に2日間の検温の一覧持ってきたけれど、後から来た患者は、問診と発熱の経緯を書き込む書類に手間取っている。用意に事欠くことなし。

 この駐車場の一角にプレハブの建物、看護師が忙しく出入りしているので、ここが検査室になっているのだろうと察する。それでも2分ほどで検査に、いよいよ検査、ジャックは冒頭の3パターンのどれになるかは、やってみなくては分からない。

 閑話休題
 ジャックは実は鼻の穴に棒を突っ込まれたのは初めてではない。9月、どうも喉が詰まったような感じがする。真っ先に心配するのは食道ガンじゃないか、ということ。でも、巷間聞くところの「食べ物が喉につっかかる」「飲み物がスムースに飲めない」といった症状はない、でも喉が詰まった感じは2~3日取れない、いつもの内科に行っても、耳鼻科に行ってみなさいと言われるだろうと思って、サーヤが通ったことのある耳鼻科に。
 豊洲の古い5階建てのビルにあったが、『ららぽーと3』の4階に開院した新しい処。診察室通されて、問診票に書き込んでいたので、すぐに診察。背の高い椅子に。“頭を椅子の背に”と言われその通りに。と、いきなり『棒』を鼻の穴に突っ込まれた、何の説明もなし、あれこれ考える暇なし、でもものの5秒程か、直ぐに引き出される。喉の写真を撮っていたのだね。
 すぐに見せられる、見せられても分からない。『逆流性食道炎』だそうだ。私の場合の注意点“食事して間もなく就寝すると、胃で消化しきれないものが、逆に上がってくるような状態が続いているのではないか”と分かりやすい説明、とにかく食事が終わったらⅠ時間は横にならないように、とのこと。確かに、毎晩8時半には晩酌終わり、9時には眠くて寝ちゃう生活、医者に図星を刺された感じ。という一件で30分の生活変化。

 そして、プレハブ小屋、いえ、検査室へ。フツーの椅子に。すぐに棒持った看護師、顔を見ているのも失礼と思い、棒の先端に注目、綿棒のようだ。少し下から見上げ加減で、鼻に。
 肝心のところでつまらない例を出して申し訳ないが、耳鼻科の時のソレは,2~3ミリ位の棒だったので、鼻孔を伝わって鼻の奥に侵入したので「入っていく」という感触があったのだが。
 これはストレートで鼻の奥、というか、脳の手前、というか、食道の入口というか、よくわからない、ただ、くしゃみをしないか気を付けよう、と思っていたがそんなヒマなし。5秒程だったか、あっさり引き出される、なんだこんなものか、と思う間もなく、反対の鼻へ、おいおい、両方ともやるのかよ、昔『一粒で2度おいしいアーモンドチョコレート』なんてコマーシャルがあったの思い出したが、確かに、2度目は、もう恍惚状態。

 後で調べてみたのだが、検査は「綿棒を2~3センチのところに入れ、5~10秒間に5回転、両方の鼻孔から採取する」と書いてある。まあ事前にこんなこと調べて検査に臨む人もいないだろうが、ちょっとびっくりした。要するにテレビのニュースでは、最初の部分しか編集してないんだ、ニュースは正しく報道してもらいたいもんだよ。

 簡単な問診を、今度は若い医師から受けて、夕方か明日に結果を報告します、と言われて帰宅。結果を待つ事に
。夕方4時頃に病院から電話、“結果が出たのでお知らせします” 早く言ってよ “陰性でした” ジャック思わず “あ、よかったですね” 看護師さん電話の向こうで“よかったですね、それでは” そっけないけどで一件落着。

 たった10秒程の検査に、これほどの記述をするとは思わなかったが。

 閑話休題
 看護師に左利きはいるか。これも今までのニュース見てて思っていたのだが、検査の様子は看護師が右手に持った綿棒を決まって患者の左の鼻孔に差し込んでいる。もし、左利きの看護師が居たら、右へ入れるんだろうか(結果的には両方入れるのだったが)気になって調べた。ネットの検索は丁寧で『看護師の資格 左利きはオーケーか』と入れたら幾つか答えがあった。主として看護学校入学の学生からで、生まれつき左利きだが、入学に問題はないか、と言うもの。結果は、全く問題はないのだそうだ。ジャックもずいぶんいろいろな医者に掛かり、ずいぶん看護師に採血もしてもらったけれど、左利きと思われる人に出会ったことはない。死ぬまでにお目にかかるだろうか、最後の看取り看護師が左利きなんてことだったら、シャレにもならないが。
▲ページTOP