やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
読切
Powered by amaprop.net
TOP > 娯楽室 > テレビ

中国の時代劇 「宮廷の諍い女」に興味あり

宮廷の諍い女DVD-BOX第1部
表題が凄すぎてちょっと観るのがためらわれるドラマ。

始めのきっかけは、夕方の時間帯に「何か面白いもの」をBSで探していたときのこと。
中国の時代ものドラマのファッションに惹かれて、なんとなく観ていた。
平日毎日放送しているとは思わず、夕食作りの前の時間帯なので、観たり見なかったり。

その内に、第一部のダイジェスト版の放送を見て、全体像が少し分ってきてから、嵌ってしまった。
中国の時代ドラマは、田中裕子が主演した日中合作ドラマ「蒼穹の昴」が始めてだったが、この作品は面白かった。
浅田次郎原作で、2010年にNHKのデジタル衛生ハイビジョンで放送され、続いて総合テレビでも放送、人気を得たドラマだ。

舞台は日本暦の明治10年代、有名な西太后を巡る歴史ドラマなのだが、田中裕子の主演が本場中国で大評判をとったらしい。
「今までの西太后を演じた女優では、一番似ている」とのこと。
こう言っては申し訳ないが、西太后も田中裕子自身も「あまり美人」ではない。

その田中裕子が主演した理由の一つが、中国で大評判をとったドラマ「おしん」のお陰だそうだ。
田中は成人後のおしんを演じて、中国には馴染があったということ。
日本人が西太后を演じて受け入れられたことが、今の日中関係を思うと複雑な思いにもなってしまう。


ともかく、中国時代劇のファッションには馴染があったわけで、しかも今回は「蒼穹の昴」とは違って、後宮が話の中心になっているから、出てくる女性達は全てが美女揃いなのは当然。
衣装も非常に豪華で美しく、欧州のシルクのスカーフを思わせる色柄が素晴らしい。
原色の組み合わせが、少しどぎつく感じられる韓国時代ものとは、好みもあるだろうが、格が違う感じがする。

季節感もよく現れていて、冬の毛皮付きベストやマント、カラー、ミトンなどは、登場人物に合わせた毛皮の色が統一されていて、大きな髪飾りや付け爪なども、珍しくて楽しめる。
アマゾンでは、まだDVD発売前なのに、「コスチューム」が販売されていて、もしかしたら人気に火がつくかも知れない。
同じ東洋系なので、日本人には似合うだろうし、豪華で華やかなパーティ用としては目立つに違いないから…。

サイトでは、BSフジテレビ系で、詳細が載っているし、毎回のあらすじも、関係図やスタッフも紹介されている。
「あらすじ」によると、皇帝に見出され寵妃となったシン・ケイが、過酷な後宮内での仕打ちに必死に立ち向かい、愛を失いながらも権力を手に入れていく姿を描く、とある。

1部から3部まであり、今は3部の初めの部分。
1部と2部のダイジェスト版は、しっかりと観ることが出来たが、後宮内での皇帝の寵愛を巡る駆け引きや策略は、まさに戦争そのもの。
勝つためには手段を選ばない美しい女達の中で、「宮廷で静かに生きていけたら…」と願うシン・ケイの少女じみた願いは、ことごとく破られていく。

第1部は「諍いの始まり~第一子懐妊」までの25話で、宮廷でのシン・ケイの皇帝による寵愛までの話。
宮廷最高位の皇后と、皇帝の第一の寵妃・華妃との攻防の中で、少しずつ成長していくシン・ケイ。
その聡明さと美しい容貌は、皇帝の愛を独り占めにしていくのだが、その裏で数々の姦計が…。

サイトのウィキペディアによると、宮廷の皇帝側室の順位と人数は決まっていて、位が上下する度に名称が変わっていく。
答応・常在・貴人・濱・妃・貴妃・皇貴妃の順で上がっていくのだが、その度にクルクルと呼び名が変わり、しかも日本語表記の難しい字のため、この文中では「シン・ケイ」で通したいと思う。

第2部は「攻防~諍いからの脱出」までの26話から45話まで。
第一子を流産させられたシン・ケイが、失意の底から這い上がり、再び皇帝の愛を取り戻して第二子を産むまで。
「さあ、ここからは復讐!」という痛快な話が続くのだが、華妃の無残な死が、主人公の行く末を暗示するようで不安感も呼ぶ。

純粋に皇帝を愛していくシン・ケイ。
「後宮の側室はみな姉妹」という考え方や、「側室の家族は皇帝の家族」という建前での美談の裏で、表での政治がらみ、寵愛と権力を巡る争いは、激しさを増していく。
美しさだけではなく、知、学、芸、家柄等々、勝つための手段が様々に入り乱れ、展開の予測が難しい。

原題は「後宮・シンケイ伝」で、中国作家・流激紫によるネット小説とのこと。
2011年末から12年春まで、中国各地で放映されたテレビドラマは、大きな話題を呼び、神劇とまで評されたという。
それぞれ主要な役を演じた女優は、その後のドラマでは主役クラスで出演しているらしい。

この物語のサイトでは、BSフジでは放送日に合わせて「放送内容」を載せていて、その日の内容が分かるようになっている。
ウィキペディアでは、非常に詳しい内容で、各登場人物の解説も載せているので、今後の展開が読めてしまった。
楽しみが半減してしまうので、物語を「ワクワクドキドキ」と追いたい方にはお勧めしない。

ユフィは、最初に書いたように中国の時代劇・宮廷ファッションに興味があるので、今後はそれを楽しみに観るつもりだ。
第3部に入ってからは、シン・ケイの境遇がコロコロと変わるため、衣装や髪型、履物などが全く変わっていく。
庶民の服や髪型は、通常の中国服などを彷彿とさせて身近に感じられるし、寺での修行の服装は万国共通の墨色や薄墨色だ。

色々な変化の後、宮廷に戻ったシン・ケイは、素顔に近い美しい少女の顔から、濃いメークの大人の女の顔になっていく。
この大人の濃いメークの顔が、ジュディ・オングによく似ている。

ドラマの最初と最後に流れる画面でも、話の内容は推し量ることが出来るし、その変貌の様子も読み取れる。
各役の女優達の演技も、その何分間かの映像で測ることも楽しむことも可能。

ユフィ注目のファッションや宮廷の話に戻ろう。
季節感の溢れた多くの衣装と、独特の髪型は、日本の時代物より複雑で、しかも豪華だ。
位によって衣装のデザインや色柄にきまりがあるようで、シン・ケイを全編通して観ることで、多分わかるのだと思う。
髪型や髪飾り、アクセサリーにも当然差があるらしく、シン・ケイは始めはなるべく質素にと、侍女に伝えている。

2部から3部までの境目で、ユフィが気になっていたファッション・宮廷の暮らしについての詳しい映像が流れた。
まずは靴。纏足と呼ばれた小さな足に合わせた平底靴は侍女達が履き、側室達が履いていたのは高い台・ヒールの付いた履物だ。
踵部分のヒールではなく、足の真ん中に白い台を付けたもので、長い衣装からチラリと見えるだけだったものが、シン・ケイが皇帝より賜ったものをそのまま置いていった形で、全容が見えた。
中国特有の絹刺繍の丸い靴に翡翠などの宝玉を飾り、白い台状のヒールが付いている。象牙だろうか?
歩きにくいだろうな、という感想。見えない部分まで飾る宮廷ファッションの粋というものか。

見える部分のファッションでは、数々のアクセサリーがあげられる。
髪型を飾る簪や花、房飾りや、ピアス、首飾りなどで、中国では古来から珍重された玉(ぎょく)と呼ばれる翡翠も多いのだが、真珠も多く用いられていた。
「つけ爪」と呼ばれる長い指に嵌めるタイプの飾りは、七宝などで彩られていて美しいけれど、邪魔になりそうだ。
今若い女性に大流行の「ネイルアート」を思わせて、面白いけれど…。

アクセサリーの他に「中国の薬膳」も度々出てくる。
思い出せる中では、咳止めに枇杷の実、毒としての夾竹桃などで、疲労回復・美容のための「アキョー」というものも出てきた。
楊貴妃も好んだという生薬・美容薬は、このドラマのCMとしても登場するのだが、ドラマとCMの差が「なんとも面白いというか、可笑しいというか」不思議な感覚ではある。

シン・ケイの娘・公主(姫)の誕生祝いに、中国では最上級の玉・羊脂白玉で作った首飾りが出てくる。
白玉は歴代皇帝の好んだ翡翠、羊脂白玉は中でも特別で、細かく潤いのある質感と、光に当たると淡いピンク色に見えるという、非常に貴重な玉とのこと。
この時代の翡翠は、現在の翡翠・硬玉・ジェダイドではなく軟玉・ネフライトで、「青玉」「紅玉」「青花玉」「青白玉」「黄玉」など様々あり、それぞれに珍重されていたらしい。

中でも、ドラマでも数多く出てくる翡翠・緑の玉は、「碧玉」と呼ばれたもので、このドラマの時代にはまだミャンマー産の翡翠・ジェダイドは発見されていない。
前述の西太后は、このミャンマー産の透き通るような翠(みどり)を非常に好み、数多く所有していたと伝えられている。

更にドラマで重要なのが「香」。
殆どが「負のイメージ」に繋がるのだが、何しろ側室の役目は子孫を残すことで、後宮は皇帝の側室が暮らす宮廷なのだから、この「香」を様々に活用し、子孫を作らせない為に暗躍する者が…。
「紅玉の玉を連ねた首飾り」は、非常に良い香を焚きこめたもので、賜った側室は感激するのだが、「実は」という展開になるようだ。

第3部には、今までにはなかった流れが見られるようで、期待している。
敵対する宮廷の女性達、敵と味方がはっきりと色分けされてくる様子だ。
今までで一番、波乱万丈の展開になりそうな予感がしている。
Powered by amaprop.net
Powered by amaprop.net
▲ページTOP