やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
読切
TOP > 娯楽室 > ステージ

本半年振りの観劇は四月大歌舞伎

四代目中村鴈治郎襲名披露で華やかに

昨年9月に、一階席でサーヤと楽しんでから半年が経った。
桜が咲き始めたたある日、久しぶりに届いた歌舞伎の切符。
順番ではジャックの姉と行く予定だったので、早速電話をする。

孫娘が音大に通っていて、三味線を習っている先生が歌舞伎座にいつも出演しているらしいので、孫娘と一緒にどうかと思ったのだが、新学期が始まっていて時間が取れないらしい。
4日の土曜日、姉はジャックと昼食の約束があるとのこと、昼は弟と夜は弟嫁と一緒に過ごすことになったのだが、義姉は絶対に支払い全てをするから、昼夜は夫婦でお世話になることに…。

とても暖かい日が続いて、桜は早くも満開を過ぎて散り始めている。
春らしくシルクのセーターに、春用の花の刺繍のカーディガンを準備していたのに、なんと急に冷えこんで冬に逆戻りの花冷え状態に。

ベージュ系の春の装いから、カシミアのグレーと黒のセーターの冬の組み合わせに変えて、ちょっと楽しみが減った感じになった。
その上、午前中に家事をこなしてカーブスで運動し、家族の夕食の準備も整えていたら、すっかり疲れてしまって支度に手間取った挙句の忘れ物

めがね無しの生活には慣れているが、観劇には必要なので、めがねを忘れて取りに戻ったのに、スマホもはすっかり忘れ、気付いたが時間が迫っていて諦める。
歌舞伎座の食事は最初の慌しい会席料理以来、お弁当にしているのだが、歌舞伎座地下のやぐらは売切れが多いし、予約は2日前までで間に合わず。

銀座三越の地下2階でお弁当を買うことにしたのだが、混んでいること混んでいること。
スマホを忘れたので時間も分からず、店員さんに聞く始末。
この間に、義姉は同じデパ地価でユフィに電話を何回もかけていたらしい。

ジャックと昼食を摂ってから直ぐ銀座に出たので、時間が余ってユフィへのお礼の買い物中、ユフィと一緒にお弁当を探そうと思ったとのこと。
申し訳ございませんでした

昼の部が遅れて歌舞伎座前は大混雑、しかも寒風が吹きつけて寒いこと寒いこと。
無事に会えてやっと場内に入り、2階席に落ち着いてホッとする。
義姉が1500円もする「四月大歌舞伎」のプログラム本を買ってきてくれる。
プログラム

スマホを忘れたから写真は諦めていたが、「この本があれば何とかなる」とホッとする。
が、最後のページに『禁無断転載』とあるけれど、大丈夫かなあ
歌舞伎座の外に出ていた、看板の写真だけにして置くことでセーフにはならないかな?
写真無しはいかにも淋しいので、ゴメンナサイ。

春らしいしだれ桜の表紙が、明るくて華やかなのでお祝いの公演には相応しいと思う。
大阪で「襲名公演」は2月に済ませていて、お祝いの言葉や初代から三代目までの鴈治郎の業績、四月の公演の詳しい内容、出演者の紹介と盛りだくさんでずっしりと重い

さて、夜の部は「梶原平三誉石切 墨合寺の場」から幕は開いた。
名刀をめぐる腹芸で、最初はハラハラドキドキの展開が、梶原の配慮でめでたしめでたしに終わる一幕もので、台詞がよく聞き取れない上に動きも少ないから、よく分からなくて眠気が襲う。
夜の部 

梶原景時役の幸四郎が、前半なぜか珍しく台詞が明瞭には聞き取れない。
「風邪でもひいたのかな」と思ってしまった。
後半は芝居の方向が分かったこともあって、なんとか芝居に乗れたけれど…。

襲名披露としての幕は、「成駒家歌舞伎賑 木挽町芝居前の場 四代目中村鴈治郎襲名披露口上」という、今回の襲名のために作られた一幕。
大勢の役者が勢ぞろいする特別版で、これから襲名の披露をする鴈治郎を口々にお祝いする気持ちに溢れたものになっている。

成駒家一門の扇雀、虎之介、壱太郎、鴈治郎、坂田藤十郎の五人の口上で締めくくり。
襲名の鴈治郎

「三代目はいなかったのかな」の義姉の言葉に、坂田藤十郎が三代目だったことを忘れていたユフィは、「女形だったから現在の坂田藤十郎は継がなかったのかも…」等と、馬鹿な返事をしてしまったが、歌舞伎役者は女形もできて当たり前なので全くの間違い。

現藤十郎が扇雀のときは、その美しさは際立っていたものだったから、鴈治郎という名跡のイメージが全くになくなっていたのかも…。
90歳近くに「藤娘」を踊れるほどの若さは、どこから生まれるのだろうか。
歌舞伎座が新しくなる前に、旧歌舞伎座の見納めにと一幕見でサーヤと見たのが「坂田藤十郎の藤娘」だったから、サーヤも鮮明に覚えているらしい。

座席に空きが目立つのは、「上方歌舞伎」の濃厚な芝居に対する東京者の気持ちの現れのせいかな。
続いての「心中天綱島 河庄」の幕で、コテコテの関西風、くどいまでの主人公の気持ちの吐露が、東京者のユフィには鬱陶しいと感じたから…

サッパリと威勢の良い江戸っ子と違って、うじうじと煮え切らないしつっこい男がどうも…。
これが上方風というものなのか、とよく分かる芝居だ。
夜の部後半

そして、最後の舞踊「石橋」は、とても気持ちの良い若さ溢れる舞台だった。
石橋は「しゃっきょう」と読み、石橋物と呼ばれる系統のひとつ。
豪華な裃袴姿に獅子頭の姿が定番のようなのだが、この舞台では、ぴったりしたシャツ風の上下にバレンの衣装での舞踊でだった。
表看板の絵とは衣装が違っていて、とても現代風で動きも軽快

若い染五郎と壱太郎と虎之介の三人が、元気いっぱいに暴れまわるスカッとした一幕。
6人の力者が絡んでの立ち回りも、歌舞伎特有のトンボがあったりして迫力充分
珍しく花道が左右に作られているので、見応えもありサービスも満点だった。

毛振りには「右巴」「左巴」「髪洗い」「菖蒲叩き」などがあるらしく、舞台いっぱいに繰り広げられる舞に桜吹雪が舞って拍手が鳴り止まない。
最後には「ドカッ」と大量の花びらが降ってきて、舞台の上は桜の色でいっぱいになった。

「夜の部の最後の舞台でやるべき舞踊だな」との感想
だって後の掃除が大変だものね。
この日は義姉に食事も飲み物もプログラム本もすっかりお任せで、お土産に「瓦煎餅」までもらっての観劇で大満足。
「またよろしく」と言う義姉に、「こちらこそよろしく」とお願いしたいくらい…。
▲ページTOP