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あらやだかっこいい! ハリウッド2014「GODZILLA」

GODZILLA ゴジラ オリジナル・サウンドトラック
「あらやだかっこいい!」
怪獣ものは興味ないのでゴジラシリーズは観たことがなかったのだが、テレビでハリウッド版2014年のゴジラCMが流れたのを見て、思わずこう思ってしまった。

まずはそのビジュアルがとても良かった。過去の日本ゴジラは無骨な感じだったのだが、今回のゴジラは何と言うか「イケメン」な感じで一目惚れしてしまったのである。
それに加えてハリウッドならではの美麗な映像だから引き寄せられてしまった。

ハリウッド版のゴジラは過去にも一度やったことがあり、そのCMも見たことがあるのだが…
「ヤダ、こんなのゴジラじゃない!」
ゴジラシリーズを見たこともないのに思わず拒否感が出てしまったものである。
↓その過去ハリウッド版ゴジラ
GODZILLA 【60周年記念版】 [DVD]
こんな「ジュラシックパーク」みたいな、まんま恐竜顔の、軽やかに動き回る、トカゲっぽい、後ろ足が細くて長い、スレンダーなゴジラなんてイヤダー!

やはり、ゴジラといったら、下半身デブでガニマタっぽく、重たそうにズシンズシンと地響きを踏み鳴らすような子でなきゃイヤ。
…と、ゴジラを観たこともないのにイメージが定着している私が、2014年ハリウッド版を見て「カッコイイ」と思うくらいなのだから、これは観に行かねば…と思った次第。

夜19時からの映画館に行ったが、観客は若い男性ばかりで、カップルがちらほら居る程度。女性はあまり興味持たないのかな…私、いちおう女性ですが映画も漫画も男性向きが好きなヤツなので。
ちょっと意外に思ったのは昔からのゴジラファンらしき中年層が居なかったことである。たまたまかな?

極力ネタ晴らし控えめでいきますが、まずは気になる本家本元ゴジラと比較しながら感想を述べてみよう。

どうやら初代ゴジラ映画のオマージュであり、続編っぽい形になっているもよう。
最近テレビで初代ゴジラ映画を見たユフィ母から話を聞くところ、どちらも「日本人・芹沢博士」が登場するようだ。
初代ゴジラでは、芹沢博士はゴジラとともに…となるラストらしいが、ハリウッド2014では(おらく決着つかないまま)ともに生きている設定になっている。

米国の登場人物はゴジラのことは怪獣としか見ていないが、この芹沢博士は「畏まるべき存在」として、恐れるべきものであり敬うべきものでもある、という風に主張しているのが日本人感覚として何だか嬉しいものを感じる。
また、ハリウッドでは「ゴジラ」ではなく「ガズィーラ」と発音し、芹沢博士を演じる渡辺謙さんにも米国発音を要求したが、彼は一貫して「ゴジラ」と発音してくれている。これはゴジラファンには嬉しいことではないだろうか。

興味深かったのは、放射能に対する米国出演者と芹沢博士の違い。
観ていて「米国人らしいなぁ~」と思ったのが、怪獣やゴジラを誘導したり殲滅するために核ミサイルをどんどん運んだり撃ち込んだりしてくれていることである。それに芹沢博士は抵抗を感じて、容易に核ミサイルを使うことを止めようとしている。
私は観ていて「うーん、米国作品だからいいのだが、あまり核や放射能を軽々しく扱われてもなぁ、ゴジラはそれを警告するような作品のはず…」とその辺が気になったのだが、芹沢博士が米国提督に壊れた懐中時計を見せて、広島原爆にあった父の形見だと言い、一瞬気まずい雰囲気が流れたのにホッとした。

ハリウッドで活躍し、かつ日本人としてのアピールもしてくれる渡辺謙さんが芹沢博士を演じたのが正解だったかも。
やはり日本人を登場させないと「ゴジラ」にならない気がする、とこの作品を観て思った。

初代ゴジラは水爆実験の影響でゴジラが登場して暴れまわる設定だが、ハリウッド2014では人類が地上に原子炉や核ミサイルを多く生産するようになったことから、放射能を食料としている別の怪獣が目覚めてしまう設定になっている。(本来、自然界の放射能は地上には少なく、怪獣が地上に現れることがない)
ゴジラは他の怪獣の存在を好まないため、お互いの生存をかけて戦う形になっている。つまりは初代ゴジラのような理由かと思ったら、ここはシリーズ途中での「別の怪獣が現れてゴジラがそれを倒そうとヒーロー化している」テーマを使っているらしい。
なので、「ゴジラVS人類」ではなく「怪獣大戦争」というストーリーになっている。

なので、ハリウッドならではの映像技術も使って、その怪獣大戦争の迫力がハンパなく凄いこと凄いこと。
人類はどちらも倒そうと奮闘するのだが、全然歯が立たず振り回されっぱなしである。というより、人類がゴミのよう…。このへんが実に容赦ないので、妙な手加減を感じずスカッと…してはいけないのだが、リアリティがあって良い。

また、怪獣大戦争となる作り話っぽい展開になるところを、怪獣の目的が「自然界の動物として本能的に行っている」ところが良かった。
だから怪獣の行動の全てが動物的なので嘘っぽさがなく、そこにもリアリティを感じた。

もう一つ褒め称えたいリアリティは、ゴジラは決してヒーローではないこと。
ゴジラの目的は他の怪獣を倒すことだけ(芹沢博士は自然界の調和のためと解釈)。だから怪獣に襲われている人類を助けているように見えて、人類を完全無視して船にぶつかったり、津波を起こしながら上陸したり、ビルや橋を破壊しながら突き進んでいるので、人類巻き添え食らって死んじゃっている。
うっかり主人公の子供を巻き添えにしそうにしてるあたりに、ゴジラは味方でもヒーローでもないというところが強調されているのが良い。

だが、芹沢博士は人類が下手に核兵器を乱用するよりも、怪獣同士で戦わせてゴジラが勝つことを望みたいと述べ、観客もそれをわかっているのでゴジラを応援したくなる。
だから怪獣が現れてやばいと思っているところへゴジラの背びれが海からようやく登場するシーンはキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!と盛り上がったものである。

私、ゴジラは強いだろうから登場したら最後、あっという間に怪獣を倒してくれるかと思っていたが、その怪獣が「アレ」なものなので意外と苦戦するのだ…というか、勝ち目はなく負けそうだった。それだけにゴジラに感情移入してハラハラしたり、手に汗を握ったりで、最後にやっと勝利した時のカタルシスがたまらなかった。

主人公ら人類は結局役に立たなかったのか?というと、全体的にはあまり役に立たなかった。でも主人公がある機転を利かせたことで、自然な流れでゴジラの勝利を導くことになる展開は「なるほど」と言えるものだった。
(怪獣大戦争の真っ只中への軍人落下隊シーンはとてもカッコ良かった)

そして人類なんて我関せず(むしろ邪魔だとプチプチ殺しちゃってる)なゴジラだが、主人公がゴジラを助けた形になった後にふいと主人公と視線が合った?かのようなシーンと、主人公が危ないときにたまたま助けた形になったゴジラの姿と、ラストシーンに「もしかして分かり合えると勘違いしちゃってもいい?」と思わせちゃうところがなんとも絶妙である。

このハリウッド2014のゴジラ、なんと続編を予定しているようである。今度は本家本元シリーズでも有名な怪獣を登場させたいとか…これは楽しみかも。

これはテーマが「怪獣大戦争」なので、ストーリー性の高さよりはアクション要素を楽しむほうが良さそうである。
米国映画にしては単純なヒーローものにおさまらず、芹沢博士を登場させて人類への警告も少し表現しているので、出来は良い方ではないだろうか。

ただ、東日本大震災にトラウマがある人はおすすめできないかも…。大地震、津波、原子炉爆発のシーンがドーンとあるので…。

最後に、日本ゴジラとハリウッド2014ゴジラのビジュアルの違いをフィギュア人形で見てみると…。

ムービーモンスターシリーズ 初代ゴジラ(新彩色)
●初代ゴジラ
なんだか愛嬌を感じる(笑)

S.H.モンスターアーツ ゴジラ (2014)
●ハリウッド2014ゴジラ
やっぱりどこか「イケメン」だよね♪

なお、「あらやだかっこいい」と映画を観てみたが、時々「あらやだかわいい」とも思った。
尻尾を打ち付けて振り返る仕草とか、アイターと痛そうにしているところとか、部分的に…。やはり人間が着ぐるみに入ったかのような、動物くさい反応とのっそりした重そうな動きがそう思わせてるのだろう。
あと、たぶんイケメンだが初代ゴジラより鼻ペチャなのが可愛いのかもしれない(笑)。

そんなわけでオススメです、ハリウッド版2014年「GODZILLA」。
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