やましたさんちの玉手箱
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春早い味わいはふきのとう

マンションの植え込みで摘んだ味

スーパーの野菜売り場では、1月から売られていた早春の味。
山菜系では価格的に安くは無いのと、大小はあっても数が多くて我が家では食べきれない。
なにしろ、ジャックが山菜が大嫌いで、サーヤもあまり得意なほうではないのだから…。

「たらの芽」はあまり山菜独特の味わいがないので、多分食べられるだろうが、独活・うど等の香りの強いものは全くのお手上げ。
「ふきのとう」は、かなり苦味が強いのが特徴で、それが美味しいのだが…。

寒く長い冬の間に眠っていた身体を目覚めさせるには、山菜の苦味が良いらしい。
冬の間に溜まってしまった老廃物や脂肪を排出させ、冬から春へと身体を順応させる効果があると聞いた。
「春には苦味を盛れ」という言葉もあるらしい。

クマが冬眠から目覚めて、一番最初に口にするものは「蕗の薹」だといわれている。
その苦味を口にすることで、眠っていた身体が目覚めるのだろう。
栽培種ではないだけに、自然の味わいとして「春の目覚め」に必要な植物とされているらしい。

抗酸化力の高いポリフェノールを多く含む春の山菜は、春先のだるさや疲れを取り去り、夏に対する備えをしてくれるという。
料理本の制作をしていたとき、料理の先生から「アクの強い山菜は揚げることでアクを感じさせない」と教えてもらっていたので、山菜類は大抵は天ぷらで食べている。

蕗は葉が出る前に花が咲くため、蕾が最初に顔を出す。
しかし、すぐに薹が立つ・花芽が伸びてしまうので、『蕗の薹』と呼ばれるらしい。
世田谷の住宅街で、ふきのとうを探すとすれば、古い家々が連なる線路脇の空き地などだった。

しかし近年は、古い家々は新しく建て替えられてしまうから、ふきのとうの出る空き地などは見当たらなくなった。
そして、2,3年前に気がついたのが、すぐ近くのマンションの植え込み
夏前に蕗の葉が茂っているのに気が付き、春先に注意していたら、小さな蕗の薹が見つかったのだ。
植え込みの蕗の薹
雪の残っていた2月に見つけておいた蕗の薹

多くは無いが、スーパーの1セットは多すぎるのだから、ユフィ1人分なら十分ではなくとも嬉しい。
ただ、このマンションの土は栄養分が足りないのか、蕗の薹の花を包むガクの枚数がとても少ない。
丸く硬くはなく、尖って細身の蕗の薹なのだ。
小さな蕗の薹

何はともあれ、人目を気にしつつ蕗の薹を摘み、夕食時に常備菜の野菜と一緒にてんぷらにした。
『蕗の薹味噌』を作るほどには数がなくて、小さいのが2つと大き目の花が伸びかけた1つ。
ぎりぎり3人分はてんぷらにできたので、ユフィは満足。
サーヤは「マンションねえ、苦味は少ないね」と感心しつつ、ジャックは渋々食べた。
蕗の薹の天ぷら

とても小さくガクも少ないような、東京は世田谷のマンション育ちの蕗の薹。
お嬢様育ちで、アクも苦味も少ない蕗の薹で、冬の身体が目覚めるかどうかは、大いに疑問?
でも、販売されているものは『栽培もの』だから、マンションとはいえ野生には違いはない。

田舎のあぜ道に自生する本場の野生種の力強い味とは違っていても、少し苦味の有る味わいに、早春の香りを感じた夕食だった。
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