やましたさんちの玉手箱
サーヤの記事
連載
01 紫外線(日光)アレルギー発症!?
02 ステロイド薬とは何か?そして転院へ…
03 光線過敏検査ってこんな検査
04 肌も血液検査結果も大変なことになった!
05 一番怖いのは「脱ステロイド リバウンド現象」
06 副腎皮質ホルモンに良いサプリメントとは?
07 治療中の肌の変移(恥ずかし写真画像付)
08 プロトピック軟膏とステロイド薬の違い
09 アレルギー体質はしておこう パッチテスト
10 アレルギー専門皮膚科がすすめるスキンケア商品
11 UVカットの日傘は選び方に注意!
12 UVカットのマスクと帽子で完全防護!
13 肌治療の中間報告とピーリングリフレッシュ14 日焼け止めクリームで勘違いしがちなこと
15 窓からの紫外線をフィルムとクリームでブロック
16 意外と役立つ!紫外線チェッカーの面白い実験

関連記事
花粉アレルギーにも効果があったタウロミン
紫外線対策にも!健康・美容のグリーンスムージー
頭皮の痒みで皮膚科へ・アレルギー性?(ユフィの記事)
NHK あさイチ 「目指せ シワなし美人」から(ユフィの記事)
Powered by fun9.net
TOP > ダイニング > 健康

アレルギー奮闘日記

08 プロトピック軟膏とステロイド薬の違い

調べてみるところ、プロトピック軟膏に関する情報は、ステロイドと同じように錯綜してるというか、「安全だ!いや危険だ!」の二極論が激しいね…。
歴史の長いステロイドと違って、プロトピック軟膏は比較的新しい薬でデータが少ない不安感もあってか危険だという議論がどうにも目立つ。

確かにちょっと調べた程度だと、危険な印象ばかり伝わってくる。しかし、そこを深く掘り下げて調べてみれば、やはりどんな薬でも「間違った使い方をすれば毒になり、正しい使い方をすれば薬になる」と思った。

まず、プロトピック軟膏とは何か?ステロイドと何が違うのか?について説明しよう。

●プロトピック軟膏
「タクロリムス」が主成分で、免疫を抑制する薬である。1999年に販売開始された、アトピー皮膚炎治療薬の新薬である。

【効用】
皮膚の炎症を鎮め、痒みや赤みを抑える効果があり、ステロイド塗り薬と同じような効用がある。

【副作用】
塗った直後から1週間くらいまで、ほてり・痒み・ヒリヒリ感などの刺激感が出ることがある。入浴や布団の中など、身体を温めている時に強く出る。
これらの副作用は皮膚炎の症状が改善するにつれて収まっていく。
ただし、10日~2週間たっても強い刺激感が続く場合は医師・薬剤師に相談すること。

【塗ってはいけない箇所】
皮膚がジュクジュクしている部分、おできやニキビ、皮膚以外の粘膜(鼻や口の中、粘膜、外陰部)、目(誤って入った場合はすぐに洗眼する)

【塗ってはいけない人】
妊婦や妊娠の可能性がある人、授乳中の人(使用中は授乳しなければよい)。

【使用中の注意】
日常生活での外出は問題ないが、山や海など長時間に強い日光にさらさないようにする。日焼けランプや紫外線ランプの使用を避ける。

【使用を止める場合】
止めるときは必ず医師に相談し、指示を受けること。
(※ステロイドと同じように自己判断による中止はしてはいけない)

ここで、感じるのは何だか強そうな薬だという印象だろう。
確かに、プロトピック軟膏はある意味ではステロイドに匹敵する強い薬と言える。
「それではステロイドを使うのと変わらないのではないか?」と思うことだろう、それが似てるようで大きな違いがある。以下に二つの薬の違いを書いてみた。

●ステロイド薬 ●プロトピック軟膏
【歴史】
1952年から使用されている。
歴史が長く、数多くのデータが残っている。
【歴史】
1999年から使用されている。
歴史が浅く、データが少ない。
【免疫】
免疫抑制剤である。
【免疫】
免疫抑制剤である。
【効用】
炎症を鎮め、痒みや赤みを抑える。
【効用】
炎症を鎮め、痒みや赤みを抑える。
【効用箇所】
全身に効果がある。

理由:箇所問わずに
浸透力が高いから。
分子量が小さいため、細胞と細胞の隙間を潜り抜けて浸透させることができる。したがって正常な皮膚にも作用させることになる。
【効用箇所】
顔や首に効果があるが、手足には効果が出にくい。

理由:
浸透力が低いため、皮膚が薄くて吸収力の高い顔や首に効果が出やすい。
分子量が大きいため、正常な細胞の隙間を潜り抜けられない。皮膚炎が起きている箇所は隙間が大きいので、その箇所のみ浸透し作用させる。
【効果】
すぐに高い効果が現れ、3.4日で症状が良くなる。
【効果】
ゆっくりと効果が現れ、1週間~10日で症状が良くなる。
【副作用】
免疫力が低下し、細菌感染しやすくなる。
副腎皮質ホルモンの機能が弱まり、分泌されなくなる。
皮膚が薄くなり、赤みやほてりが出る。
【副作用】
免疫力が低下し、細菌感染しやすくなる。
ほてり・痒み・ヒリヒリ感などの刺激感が出る。
【塗ってはいけない箇所】
皮膚以外の粘膜など
【塗ってはいけない箇所】
皮膚以外の粘膜、
おできやニキビジュクジュクしている部分など
【塗ってはいけない人】
様々なランクと種類があるので、医師の判断によるがこれといった禁止制限はない。
【塗ってはいけない人】
妊婦、妊娠の可能性のある人、授乳は避ける。大人用は16歳以下は使用しない、幼児用は2歳以下に使用しない。
体重10キロに1回1g、1日2回まで。1日10g超えてはいけない。
制限は色々とある
【使用中の注意】
特にない。
【使用中の注意】
強い紫外線・日光を受けないようにする。
【使用を止める場合】
免疫力と副腎皮質ホルモンが低下しているため、リバウンド現象が発生し、以前より酷い皮膚炎を起こす。
必ず医師と相談して指示を受ける。
【使用を止める場合】
免疫力が低下しているため、多少のリバウンド現象は起こす。
ただし、
副腎皮質ホルモンの機能は正常なため、ステロイドよりはリバウンドが少ない
必ず医師と相談して指示を受ける。

というように、似ているようで違う箇所も多々ある。
どちらが良いのか?安全なのか?効くのか?という意味では、比較することはできない。
自分の体質・体格、症状、環境、目的に合わせて適切な方を選ぶことになる。

たとえば、アトピー皮膚炎で重度の人や、膠原病(こうげんびょう)など、深刻な場合はステロイドになる。
また、酷い皮膚炎を短期間で治す場合もステロイドが向いている。(プロトピック軟膏は酷い皮膚炎には刺激や痛みが強くなるので使えない)

軽度の皮膚炎やアレルギー体質で、皮膚炎が酷くない場合はプロトピック軟膏になる。
また、皮膚が薄くて吸収力の高い顔・首には、浸透力の低いプロトピック軟膏が向いている。(つまり顔だけが皮膚炎を起こしている人には有効)

環境的・仕事的に強い紫外線・日光を浴びるかどうかでも、分かれることになる。
工事現場やスポーツ選手など外に出ている時間が多い人はステロイド、室内の仕事をしている人ならプロトピック軟膏になる。

一番の大きな違いは、やはり副腎皮質ホルモンの影響の有無である。
ステロイドは多大な影響があるが、プロトピック軟膏なら副腎皮質ホルモンは正常なままで使用することができるのである。
だから、中止する場合のリバウンドもステロイドよりは少なく、回復も早くなる。

…というように、どちらが良いかどうかではなく、使い方なのである。

プロトピック軟膏が敬遠される一番の理由は「発ガン性がある」ことだろう。
これに注目してプロトピック軟膏は危険だ!と訴えているサイトが数多く見られるが、私は「落ち着いて」と言いたい。

発がん性の危険性が周囲にどれくらいあるかご存知だろうか。
一般に有名な発がん性のあるものは、農薬、食品添加物、肥料、排気ガス、お酒、タバコ、紫外線、山菜、焼き料理、燻製、コーヒーなどがある。これらは私達が普通に取り込んでいるものである。
発がん性があるから危険だ!と訴えるなら、では何を食べてどこで暮らせというのだ…というところである。
山菜…ってのがビックリだね。つまり自然食品でも発がん性はあるのだ。
焼き料理…つまり、おこげ部分に発がん性がある。えー、おこげがあった方が美味しいよね(笑)
お天道様の恵みである、日光(紫外線)だって発がん性あるし。
これらを避けて生きるなんて、ムリムリ、絶対ムリよー。

ただ、これらはいずれも過剰摂取をすれば発がん性の可能性が出るということで、たとえばコーヒーを1日に10~20杯も飲むと可能性は高まる。…が、そんなことしたら体に悪いのは予想つくので、どのように気をつければいいのかはわかるはずである。
逆に全く取り込まないのも良くない。紫外線(日光)とて、ある程度は浴びないと体内時計が狂い、様々な精神障害・体調不良を起こす。
酒と同じで何でもたしなむ程度にすれば、むしろ健康的に過ごせる。

確かにプロトピック軟膏をマウス実験したところ、皮膚がんやリンパ腫の発生は見られた。
実験では毎日プロトピック軟膏0.1%(成人用)を、人間よりはるかに皮膚の薄いマウスに大量・分厚く塗布し、長期間強い紫外線を浴びさせ、毎日監視される極限ストレス状態で2年間の実験を行い(マウスの2年は人間のほぼ一生)、リンパ腫の発生が高まった…というもの。
いや、さすがにこのマウスと同じ環境に人間が追いやられたら、皮膚がん・リンパ腫どころか別の病気になって早死にしそうな気がするのだが(笑)
それ以前にマウスと人間の体構成は大きく異なるので比較対象ではなく、参考程度にするべきだろう。

また、確かにプロトピック軟膏の利用者が悪性リンパ腫になったという事例は出ているが、薬の利用者人口率から算出すると、健康な人の平均的な発症率を超えていないので今のところは安全性があると主張している。
個人的には、発症したという人がどんな患者でどのくらいの頻度で使用していたのかのデータが知りたいところ。これは個人差が大きいし、使用制限が厳しいのでそれを守っているかどうかも気になる。

まぁそういうわけで、あまり発がん性とか副作用とか過敏になってもしかたがないのである。
それよりも今悩んでいる皮膚炎を鎮めたり治す方が大事。リスクが心配だから…と我慢して、精神的・肉体的に苦痛を強いるのは不健康だと思う。

サーヤの場合は、紫外線アレルギーによる肌荒れなので、ステロイド薬に依存しないといけなことはない。極力紫外線・日光を避けるように心がけ、またスキンケアにも配慮すればきれいな肌を保つ努力はできると思う。
だから、血液検査で副腎皮質ホルモンの数値が非常に少ない結果を受けて、医師は脱ステロイドをすすめてきた。それには、プロトピック軟膏への切り替えが必要なのである。

プロトピック軟膏も免疫抑制剤なのでステロイドの引継ぎになるが、一番大事なのは副腎皮質ホルモンの回復なので、それに影響の出ないプロトピック軟膏への切り替えになる。
(どちらの薬にも頼らず、いきなり離脱した場合のリバウンド地獄は前回の記事で恐ろしい写真画像付きでお見せしたとおりなので…)

あと、サーヤに処方されたのはごらんのとおり、小児用なのである。
プロトピック軟膏の小児用チューブ
成人用は0.1%、小児用は0.03%で、かなり弱いものを処方されている。
また、一般的には1日に2回の処方であるが、サーヤの場合は1日1回(夜)と指示を受けている。
この薬の使用上限は、小児の場合1日5gまで、である。
5gはこのチューブ一本なのだが、サーヤはこれを使い切るのに10日以上かかっているので、かなりの安全圏といえる。
今のところこれを使用し始めてから3週間経つが、十分に肌が落ち着いている

医師は1ヶ月間はプロトピック軟膏を続け、止めるときは指示を受けるようにと言ってきたので、副腎皮質ホルモンの回復を見ながら、段階的にプロトピック軟膏も離脱していくことになると予想している
その後の生活でまた肌が荒れてきたら、一時的にステロイドかプロトピック軟膏を使うことがあるだろうが、それも今後の経過次第なので、そのときにまた記事に書きたい。

アトピー皮膚炎や膠原病(こうげんびょう)など深刻な症状の人は、ステロイドやプロトピック軟膏を使わずにやっていくのはかなり困難だと思うので、副作用やリスクばかりを意識して我慢したりせず、勉強して知識を身につけたり、医師とよく相談して上手く付き合っていけるようにして欲しい。

ふうふう…今回の記事は調べものが多くて大変でした…(´Д`;)
お役に立てましたでしょーか。

あ、ちなみにプロトピック軟膏を使ったとき、刺激感という副作用はありました。顔がヒリヒリとして痒くムズムズとして、また眠れない夜が…(やはり入浴と就寝時に強く出た)。それは1週間ちょっと続いたが、10日後にはおさまりました。
まぁリバウンド現象が凄まじかったので、落ち着くのに時間がかかったのだと思います。

次回はアレルギー体質の人にはぜひ実施しておいて欲しい、パッチテストについて書きます。
アトピー性皮膚炎―正しい治療がわかる本 (EBMシリーズ)
古江 増隆
法研
売り上げランキング: 56,637
アトピー性皮膚炎 患者1000人の証言
安藤 直子
子どもの未来社
売り上げランキング: 104,198
肌断食 ---スキンケア、やめました
平野 卿子
河出書房新社
売り上げランキング: 2,714
アトピタ ベビーローション 乳液タイプ 120ml
丹平製薬
売り上げランキング: 476
▲ページTOP