やましたさんちの玉手箱
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サーヤは着せ替え人形

子どものいじりすぎは厳禁

難産の末に逆子で生まれたサーヤ。
ジャックの家系の遺伝である、フサフサの黒い毛と大きな目が特徴的な赤ちゃんだった。
可愛くて、子ども嫌いだと思っていたジャックもユフィもメロメロ状態。
特に母は、もう大変な可愛がりよう。

年齢を重ねていく中で、今思えば間違っていたのがファッションのこと。
なにしろ両親がファッション誌の編集部出身。
漫画の絵の付いた、ピンクや赤などの一般的な服や靴では我慢が出来ない。
フサフサの黒髪で「男の子」とよく間違えられたくらいに、女の子の色が似合わない。
家族一致でピンクや赤は買わなかったと思う。
当然色は青や黄色、たまにオレンジ系と言う感じだった。

幼児の頃から、ユフィの手作りの服を着せていた。
当時まだ珍しかった黒地のブラウスやデニムのスカートなどが中心。
あるときには、ダークグリーンの無地と白地の大柄な花柄を接ぎ合わせたツーピースに、
このときだけは意見一致で、ピンクのスエードのブーツを履かせていた。
ジャックが当時勤めていた会社の社長宅に年始に伺うと、
社長夫人が「フランス製?」と聞いたほどのファッションで、ユフィは大満足。
えりまき・チェックのツーピースのサーヤ黒ワンピースのサーヤ

これがいけなかったらしい。
成長したサーヤに言わせると「ものすごく、恥ずかしかった」と言う。
他の友達とはまったく違う服装が「恥ずかしくて仕方なかった」のだとか…。
えーっ、可愛かったのに…。
家族はみんな満足だったのに、本人一人が我慢していたのだ。
今の時代ならよかったかもしれない。
デニムの服も黒のシャツも売っているし、普通なのだから。
時代の先取りのしすぎだったのだろう。

先日ランドセルのCMで、ものすごく様々な色のものが揃っていて、「すごいね」と言っていたら、皆で思い出した。
サーヤが「赤いランドセル」に異常にこだわったことを。
ピンクのランドセルを薦めていたのだが、絶対に人と同じにしたかったのだ、と。
そして、この性格というか、ファッション感覚は尾を引いてしまう。
高校生くらいまで、まったくのファッションオンチになってしまったのだ。
出かける支度をして玄関で待っていると、ものすごいアンバランスな服装で出てくる。
ため息が出てくるくらいに、服装感覚が悪かった。
我が家のファッション育成は大失敗。

「可愛いから」といじくるのは、「間違った子育て」という良い見本。
着せ替え人形だったサーヤのファッションは、今は大丈夫。
自分に似合うファッションはわかっている様子。
ヤレヤレ…。


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