やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
読切
Powered by amaprop.net
TOP > クローゼット > 世の中のファッション

フィギュアスケート/浅田真央 闘う衣装のいろいろ

大人の真央/子供の真央

フィギュアスケート界に、まだ幼さの残る真央ちゃんがデビューしたのが2001~02年のシーズン。
それから12年の歳月が流れ、顔立ちはあまり変わらないのに、雰囲気もスタイルもすっかり大人の女性に変貌している。

2014年の「世界選手権(埼玉スーパーアリーナ)での『ショートプログラム・ノクターン』では、世界最高の78.66点をマーク。
完璧な3回転半・トリプルアクセルを冒頭にきれいに決めての1位発進。
加点もされて、ジャンプは全て華麗に飛んだし、スピンとステップも「最高難度のレベル4を獲得した」のだから当然といえば当然だろう。


女子ショートプログラム 演技する浅田真央
さいたまスーパーアリーナ(撮影・古厩正樹)
新聞のカラー写真の演技中の表情が、とても柔らかく優しい真央らしさに溢れていて、心中「ソチで悔しかったんだ」と繰り返し思いながら滑っているようにはまったく見えない。
佐藤信夫コーチも大満足だったとか。

この日のショートプログラムの衣装は、ソチ・オリンピックで16位に沈んだ時のもので、今までは失敗したときの衣装などは着なかったのに、今回は胸に期するものがあったのだろう。
あえてこの薄紫のグラデーションの衣装を着たことで、「ソチでは悔しかったんだ」の胸中に繋がったのだろうか。

そして、翌々日のフリーでは、気迫のこもった演技で歓喜の涙をこぼしたソチでのフリーとは違って、なんだか「淡々としていた」と感じたのはユフィだけだったろうか?

やました家では、東京と産経の2紙の新聞を取っているのだが、どちらも一面にカラーで載った「世界選手権金メダル」の真央は、ショートの写真と同様に「柔らかな表情」で、まったく同じ祈るようなポーズなのだ。
左の肩の辺りに両手を重ねて、目線を上げた祈るようなポーズは、撮影の角度が違うのに「どうして?」と言いたいくらいに『同じ』。


滑り出すまでは「お願い、転ばないで、失敗しないで」と心配が先で、いつものライブ試合と同じだったのだが、トリプルアクセルが決まってからは落ち着いて観ることができた。
回転不足や三回転のひとつが失敗したけれど、転ぶことなくショートとフリーを何とか滑りきった「自己ベスト更新」での優勝は、「本当におめでとう」の一言に尽きる。

「フィギュアスケートが好き」と改めて感じた今大会、まだ決定されてはいない今後の動向も、「体は大丈夫、気持ちが…」の状態らしいが、ゆっくりと自分の心と相談して決めるといい。
『大好きで無心に滑った子供時代』と『やはりフィギュアスケートが好きだから何かの形で続けたいと思う現在』と、真央には差がないのかもしれない。


写真で観る衣装の数々
幼い日からの真央ちゃんを追いながら、その成長を見ていこうと思う。

 
フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
「フィギュアスケート・コスチューム図鑑 浅田真央」には、1999年と2000年の頃の真央ちゃんの姿もあって、これはまた濃いピンクの衣装でとても可愛らしい。
まだ7、8歳の頃のものだろうか。
真央は「ピンクが好き」と聞いたことがあるのだが、その好きなピンクの衣装は案外少ないのだ。



フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
2001~2年のシーズンでは、今シーズンを思わせる薄紫の衣装で「インカダンス&アンデス」で登場している。
白い花を大きく開けた襟元に並べた半袖のレース製で、大先輩の伊藤みどり選手のお下がりらしい。
憧れの先輩の衣装で、ちょっと大人の雰囲気も味わったりして、「嬉しかったのだろうな」という感じだ。

現在『トリプルアクセル』を飛べるのは、伊藤みどり選手の後では浅田真央選手のみという、何か繋がりを感じさせるエピソードだ。



http://momolunafever.blog64.fc2.com/
2003~4年は、ショートの「マイ・ガール2」で大好きなピンクの衣装で登場していて、大満足の表情でのポーズが決まっている。
シンプルなデザインだが、斜めの花飾りがキュートな印象で可愛らしい。



http://momolunafever.blog64.fc2.com/
同年のフリーは「ワルツ・スケルツォ」で、珍しい黄色に同色の黄とオレンジの花模様。軽快な感じで明るい真央にぴったりだし子供らしい。



フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
2004~5年のフリー「風変わりな店」では、エキゾチックな演技だったのか、上半身に鮮やかな色合いを集めて飾り、下半身は紫に銀のラインというこれも大人っぽい衣装で、雰囲気は出ていると思う。
(これも伊藤みどり選手のお下がり。だから大人っぽいのです。byサーヤ)



フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
2005~6年のシーズンからは、ユフィもなんとなく記憶に残っている。
14歳の年齢制限で「オリンピックに行けなかった」時のものだ。
ショートプログラム「カルメン」での鮮やかなピュアオレンジの衣装は、華やかで活発な印象だったのではなかったか…。


フリーの「くるみ割り人形」は、真央本来の可愛らしさと優しさが溢れた衣装で、ホワイトと3色のピンクの取り合わせが年齢的にもぴったりだった。
大好きなピンクの衣装で、思いっきりトリプルアクセルも飛んだし気分良かったのだろうな、という感じ…。
この年の衣装はフリーでは3種類あって、全てがピンク系だから好きだったんだね、きっと。



フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
次の年が、今回と同様にショートに「ノクターン」を舞った2006~7年のシーズンで、淡いピンクに長めのチュチュを薄地にして、ブルーを効かせている。
このあたりから、少しずつ大人への階段を上り始めているのか?


フリーの「チャルダッシュ」では、深紅に銀のラインやアクセントを効かせた真央には珍しいインパクトのある衣装だった。

以後の真央の衣装は、どんどん大人への変化を加速させていくのだが、もしかしたらこの頃から、ロシアのタラソワ・コーチがデザインをしているのかも知れない。



ショートプログラムに臨む浅田真央
(c)AFP/PATRICK KOVARIK
2007~8年のシーズン、ショートの「ヴァイオリンと管楽器のためのファンタジア」では、昨シーズンの「白鳥の湖」や、今シーズンの「ピアノ協奏曲」での鳥の羽のアレンジが見て取れるように思う。
ブルーと白の胸飾りと、ハイカラーの特徴が同じようなのだ。



フリースケーティングに臨む浅田真央
(c)AFP/PATRICK KOVARIK
フリーの「幻想即興曲」での、白と黒のコントラストが印象的なものは、映画「マイフェアレディ」のオードリー・ヘップバーンの衣装を思わせる。
彩りはないのに女性の美しさを表現していて『いいな』と思ったもののひとつ。

フリースケーティングに臨む浅田真央
(c)AFP/CHOI WON-SUK
もうひとつの臙脂系と銀のアクセントの衣装は、まったく記憶にないので語れないのだが、イメージ的には真央らしくないかも知れない。



08-09フィギュアスケートGPシリーズ・ファイナル
女子シングル・ショートプログラム(SP)に臨む浅田真央
(2008年12月12日撮影)(c)AFP/KIM JAE-HWAN
2008~9年のショート「月の光」は、あまり印象には残っていないのだが、すっきりとした長袖の青みがかった紫と銀のアクセントが、とても女性らしく優雅だ。
曲のイメージ通りのデザインなのだろうが、大人になりつつある真央らしい。



08-09フィギュアスケートGPシリーズ第6戦NHK杯
女子シングル・フリースケーティング(FS)に臨む浅田真央
(2008年11月29日撮影)(c)AFP/Kazuhiro NOGI
まだ耳に残っているフリーの「仮面舞踏会」での衣装は、タラソワ・コーチのデザインだろうと思われる。
真央ちゃんには珍しい真っ黒な衣装で、インパクトが大きかった。
別にもう一着、黒っぽい臙脂色の衣装もあったようで、ハイネックで大人の雰囲気は同じのようだ。


2009~10年のオリンピックイヤーでは、ショートに昨シーズンのフリー曲「仮面舞踏会」を持ってきた。4着あるようで、赤系が3点と薄青系が1点見られるのだが、全てが長袖に胸を大きく開けてカラーだけ巻いたようなデザインで、タラソワ・コーチの好みなのか、曲想に合わせているのだろうか。
凝った生地使いや微妙な色の組み合わせで、全ての雰囲気はかなり違って見えるのがポイントかも…。



フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
フリーの重厚なピアノ曲が論議を呼んだ『鐘』では、同じデザイン系の長袖に首に巻いたカラーが特徴で、今までの真央らしくない赤と黒の組み合わせが、曲の力強さを表していたし、表情まで厳しくなっていたっけ。

フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
今シーズンのフリー「ピアノ協奏曲第2番」で途中から着用した紺と青の衣装は、ユフィは見たことがなかったのだが、「鐘」の時に使用したものらしく、当時の年鑑にも出ている。
長袖で胸空きが広く、カラーがついている同パターンのものだ。



フィギュアスケート・コスチューム図鑑
http://seesaawiki.jp/w/costume_skating/
2010~11年のシーズンは、「バンクーバーオリンピック」後の『大改造』に着手した頃のもので、いわば現在の真央に生まれ変わる過渡期とも言えるかもしれない。
ショート「タンゴ」は真央らしくない赤と黒なのだが、「鐘」の衣装の力強さとは違っていて、「気分転換」を図ったのか、雰囲気がまったく変わってしまっている。
ユフィの記憶にも残っていないから、ミスマッチだったのかも…。



SPを終えたその日の夜、佐藤コーチと話して変化が訪れた【坂本清】
フリー曲の「愛の夢」は、その軟らかい紫の色と共に記憶にしっかりと刻まれているから、今シーズン同様に真央には似合いの色彩なのだと思う。
20011~12年のシーズンは、フリーは『愛の夢』を再び取り上げているから、衣装の「淡い紫のイメージ」はしっかりと記憶に残ったし、真央もピンクから脱却しての『内なる大人色』に落ち着いてきた、といえるのだろうか。



(左画像) ショートプログラムで3位スタートの浅田真央【坂本清】
(右画像) 演技に臨む浅田真央(2012年2月10日撮影)
(c)AFP/Getty Images/Matthew Stockman
その分の外への発散が、ショート「シェヘラザード」の中東的な濃い紫や鮮やかな青の衣装に反映されたのかもしれない。
見たことのない真央の新しい濃い紫の印象は楽しめたのだが、足を覆った膨らんだパンツスタイルがジャンプの邪魔になったそうで、早々に変えてしまった。
真央には中東のイメージは合わないかもしれない。
あまりアジア系の雰囲気がない、ということもあったのだろうが、青の衣装もなんとなく身についていないように感じられるのは、ユフィ好みではないからか…。



SP1位の浅田真央の演技=飯塚晋一撮影
そして記憶に新しい2012~13年のシーズン。
大改造後の真央の躍進の年になったシーズンで、世界が認める明るい真央ちゃんが戻ってきたときのもの。
ショート「アイ・ガット・リズム」では、ノースリーブの明るい蛍光色の強いオレンジ色に銀のアクセント、という活発な印象の衣装で、氷上を活き活きと跳ね回った。
真央スマイル全開の明るさが、逆に痛々しく感じたのはユフィだけ?



優勝した浅田のフリーの演技=松本剛撮影
世界中の人が知っている名曲「白鳥の湖」をフリー曲に選んだ理由は、詳しくは分からないけれど、有名なバレエ曲を舞うことに相当な勇気が必要だったのではないだろうか。
それでも活発な真央スタイルから、優雅なオデット姫という正反対の舞は、真央の成長を見る上での「すばらしい組み合わせ」ではあったと思う。
真っ白なオデットと黒鳥のオディールの中間を表した、グレイの胸飾りとチュチュがとても似合っていて、落ち着いた雰囲気で安心して見ていられた。

浅田真央のフリーの演技
16日、カナダ・オンタリオ州ロンドン(大里直也撮影)
最後のほうで「真っ白い羽中心の衣装」に替えていたが、オデットの雰囲気が強く出すぎていたのでは、と感じた。



演技をする浅田真央=さいたまスーパーアリーナ(撮影・古厩正樹)
すっかり真央のカラーに定着した感じの「薄紫」が、ショートの曲『ノクターン』を滑る彼女を、柔らかく優しく包み込んでいる。
タイツ1枚でも、「失敗した試合の時のものは身に着けない」という真央が、あえて大失敗したときの衣装で「世界選手権」に出るには、相当の覚悟を秘めていたのだろう。



ソチ五輪のフィギュアスケート女子フリーで演技する浅田真央(2014年02月20日)
【時事通信社】
フリー「ピアノ協奏曲」の衣装も、「羽」をイメージした最初のものは「重かった」らしく、「鐘」で着用した紺と青の衣装に換えていたのだが、ソチでの奇跡的な復活の時には、最初の衣装の問題点をクリアした新衣装だった。
重厚なイメージは払拭されていて、羽は軽やかに細くなって身に寄り添うような感じになったように思う。

この青の衣装は、タラソワ・コーチが真央のためにデザインしたものらしい。
『幸せの青い小鳩・グルボーチカ』をイメージしたとか。

http://momolunafever.blog64.fc2.com/
鮮やかな光のある青が、忠実に表現されているし、ウエストを中心に放射状に広がる紅色のデザインは、鳩の足の紅色と同じなのだ。
真央の明るい笑顔がとても似合う衣装だと感じるのは、真央が満足できる演技で締めくくったからなのだろうか。

ソチの演技では、紅色の口紅とマニキュアが力強い感じでバランスも良かったのだが、今回の演技では「紅色のマニキュア」はそのままに、口紅がかなり柔らかいピンク系になっている。
表情に穏やかさが見られる要因なのではないか?と、思って良く写真を見てみると、演技中は濃い色を塗っているのだ。

インタビューから塗り替えたのではないだろうか?
戦いの色から日常への変化を作れる、「大人の真央」になったということか。
「ショートとフリーを揃えて演じたい」希望は、100%ではなくとも適えたのだから、真央自身の選択を間違えないようにと後は祈るだけ…。


【サーヤのコメント】
こうして振り返ってみると、意外とピンクが少ないことに気づく。彼女は薄めのパステルカラーがよく合う。原色はいまひとつ合わないが、「鐘」のように曲想に合ったものだと演技中はかなり馴染んで見えてくる。
サーヤ的には「シェヘラザード」のパンツスタイルのが実はお気に入り。合う合わないは別としてこれまでのイメージを払拭した珍しい衣装だったし、振り付けもアジアン風で色々と新鮮さを感じたからだった。
そして、これまでの衣装の中で一番良いと思ったのはやはり最後の青い鳥の衣装。重さを感じずふわっと飛ぶようなジャンプをする彼女にはよく合う衣装だったと思う。
これでラストダンスとなり、競技衣装を見るのは最後になるかもしれないが、まだアイスショーがある、そちらで色々と楽しませて欲しい。


フィギュアスケート衣装の記事はこちらにも書いています。
 2013 フィギュアスケートのファッション/浅田真央
 2013 フィギュアスケート日本男子の衣装に思う
 ソチオリンピック/フィギュアの男子ファッション
 ソチオリンピック/フィギュア女子華やかに厳しい戦いのファッション
 ソチオリンピック/エキシビジョン衣装あれこれ
 フィギュアスケート/高橋大輔のファッション歴史
 フィギュアスケート/浅田真央 エキシビジョン衣装
 浅田真央23年の軌跡展 なんと素晴らしい展示の数々
 羽生選手 15~16年のシリーズの衣装は フェミニンじゃあない
 浅田真央復帰戦は一喜一憂
当サイト「娯楽室」-「スポーツ」にこちらも書いています。
 ソチオリンピック フィギュアスケートに物申す
Powered by amaprop.net
▲ページTOP