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浅田真央復帰戦は一喜一憂

ジャズ「素敵なあなた」とオペラ「蝶々夫人」の対比が鮮やか

ショートは楽しいジャズで浮き浮き気分

女子SPで演技する浅田真央=北京(共同)
恋人を想いながら、楽しく踊る女性が表現されているのか、ショッキングピンクの衣装は、心浮き立つ気持ちの現われだろうか。
スタートで悪戯っぽく肩をすくめて演技に入る瞬間から、いかにも明るい真央らしい表現で引き込まれる。

背中を大きく開けた長袖の衣装は、軽やかに透けるオーガンジーのようで、流れるように繋がっているチュチュが、ジャンプする度に広がって美しい。
すっきりしたボートネックとは反対に、肌を大きく見せる背中のカットは、ウエスト部分にまで深くダイヤ型に広く開いている。
直線的ではなく、カットされているようなのだが、模様の確認は難しい。
前面に施されたラインストーンの模様が立体的に感じられるのだが、何の模様なのかはよくは分からない。
ピッタリと添った長袖と、明るいカラーが際立つ衣装で、今までの中ではとてもシンプルなように見える。

ポニーテールに結った髪は、同じ濃いピンクのゴムでまとめられている。
このゴムが、NHK杯以降では黒いフリル状のものに変わっていて、あまり目立たなくなっていた。

そして、なんとか進んだファイナルでは、同デザインの濃い紫に変わっていた
多分全く同じデザインの色違いで、紫に銀系のラインストーンが浮き立って見え、模様がハッキリと分かる。

女子SPで3位になった浅田真央の演技=バルセロナ(共同)
やはり花の模様ではなく、ベイズリー・唐草風の模様らしい。
花の模様よりは、大人の雰囲気でもある。
全体に施された光る模様は、ウエストを細く見せるデザインになっていて、チュチュにまで流れるように散っている。
チュチュはくさび型にカットされ、二重に重なって広がっている。


出典 http://think58.exblog.jp/
ピンクに惑わされないから、体型もしっかりと露わになり、なんだか全体的に太ったような…。
引き締まった感じがないので、やはりブランクがひびいているのかなあ。
紫も落ち着いた感じで悪くは無いけれど、フリーの衣装も紫系だし、ユフィ的にはピンクの明るいほうが好きだ。

そして12月末の「日本選手権」ショートの衣装は、ピンクに戻していた
この曲にはピンクの方が似合っているし、悪い印象を払おうとしたのかな?
ポニーテールのヘアもカールさせて華やかにしたのに、結果は5位スタートで厳しい。

最大の武器「トリプルアクセル」が完全に飛べないと、得点が伸びないし、最初に失敗すると続いて失敗する悪い癖が出たのだろう。
コーチの佐藤信夫氏ともじっくり話し合った結果が、フリーでどう出るのか、不安と期待で待った一日。



フリーは和風で悲劇を演じる

オペラ『蝶々夫人』は『マダム・バタフライ』として世界的にも有名なオペラ。
「ある晴れた日に 遠い海の彼方に 船がやがて見える」と歌われるアリアは、母国に帰った旦那様をひたすら待ち続ける蝶々夫人の有名なシーンだ。

着物風のデザインは、広く開いた襟ぐりと打ち合わせ、背中を深くくった襟、帯を象った太いベルトと帯締め、スカート部分には着物の裾と同様にスリットが入り、いろいろと考えられた衣装になってはいる。

出典 http://think58.exblog.jp/
薄手の軟らかい生地は、広がった袖先とスカート部分が紫色のぼかしになっていて美しいし、身頃には前後共に小さな蝶が散りばめられているので、和のイメージは満載なのだが手放しでは賞賛できない。

なんだか、帯が極端な言い方をすれば「おばあさんの帯みたい」に貧乏臭いのだ(ゴメンナサイね)。
色が濃紫に銀の控えめな模様で、帯締め風の紐も細すぎる。
帯の結び方も、ちんまりと渋すぎるし…

優勝した浅田真央の女子フリーの演技=北京(共同)
ジャンプやスピンなどの動きの激しいフィギュアでは、着物風にアレンジするのはかなり難しいのだろう。
髪飾りもすごく控えめで、「もっと工夫できないのか」とサーヤまでがブツブツ言っているし…。

しかし、推測される蝶々夫人の年齢は、二十歳過ぎの若い女性のはずだ。
十代の若い内に見初められて同居したのだから、男の子は生まれてまだ何年経っていないはずで、いくら娘ではないと言っても地味すぎる装いだ。
未婚でない女性は、派手な色を身につけないという日本の美徳は、フィギュアスケートの目立つのが一番の世界では、通用しないのでは?

帰国した夫を待つ妻の切ない想いは、正式な結婚ではない為、母国で妻を迎えて共に赴任という話になるので、蝶々夫人には悲劇的な自害という最後が待っている。

真央の演技もそれを充分に意識してのことなので、切ない表情が多いのだが、何もファイナルの演技まで切ない結果にならなくともいいのに…。
「自分の信じた道を歩く」と決心した蝶々夫人を、とても演じたいと強く想ったという真央選手、行く手が悲劇でも屈しない強い決意が鈍りそうな…。

出典 http://think58.exblog.jp/


ユフィ的な私見で、今回の衣装を想定してみた。

まずは蝶々夫人の、最初の花嫁の白無垢と、最後の自害の白装束の二つから、真っ白な絹の衣装にして帯は紅紫。
ハッキリとした梅や牡丹の花模様を銀やラインストーンで描き、太目の銀白の帯締めをアクセントにする。

身頃に散らした小さな蝶は、大きく羽根を広げた揚羽蝶をグレイや銀のラインストーンで描き、より蝶のイメージを出したい。

髪飾りは、華やかな銀色の櫛をイメージしたものにしたいが、本当は簪風の揺れるものだったらなお素敵だろう。
でも演技する上ではかなり邪魔だろうから、しっかり安定する櫛がよいだろう。
真央の髪飾りもよく見ると、銀が主体の櫛風なのだが、帯の配色と合わせたのか、色合いとデザインが地味なのだ。

白絹の衣装だと、男子の羽生選手のイメージに近すぎるのが難なのだが…。
それだけ彼の衣装は、よくできているということになる。
ファイナルの結果が悪かったのは衣装の問題ではないのだが、「儚い印象の真央」は見たくないから、「明るい力強い真央」に早く戻って欲しい。

そして、笑顔が戻った日本選手権でのフリーの演技。
最初のトリプルアクセルと三回転連続ジャンプは失敗したけれど、それ以外は見違えるような演技を見せてくれた。

苦手な3回転ルッツも加点のつくジャンプ、転んだトリプルアクセルも「しっかり回っての失敗」と前向きに捉えられたとか。
「佐藤先生と話しあって、自分の弱い部分に気づけた」と前向きに吹っ切れたようだ

3位に浮上して、来年3月の世界選手権代表にも決まり、明るい笑顔も見せた。
2月の四大陸選手権(台湾・台北)にも3年ぶりに出場が決まり、忙しかった今年も笑顔で終了、ゆっくり構えて準備できるだろう。



エキシビションはジャズ「踊るリッツの夜」で軽快に

ファイナルでは体調が悪く急遽帰国したので、エキシビションは欠席だったから真央の明るい笑顔は観られなかったのが残念。

いかにも真央らしい活発な明るい印象の曲で、ブラックの燕尾服がとても良く似合っていた。
白いシャツにある黒のレースの飾りのバランスも良い。
アクセントにはショッキングピンクが、効果的に配されている。
タイやボタン、ハットのリボンと裏、テール(裾)の裏などに鮮やかさを添えている。
特に動きにつれて翻る裾裏は、非常に印象的だ。

細かな部分にもこだわりが見え、同じ色の口紅も鮮やか。
足元も白と黒のコンビの靴で、小さな黒ボタンが並んだ特注品のようだ。
エキシビションは復帰戦ということもあって、かなり力の入った衣装になったのかも知れない。
さて、日本選手権の結果如何では、エキシビションは観られないこともあり得る訳だから、あの奇跡的な復活がまた見られるよう、期待はしているのだが…。

そして待ちわびた笑顔満開の真央選手のエキシビションは、弾ける明るさが真央選手の気持ちを雄弁に物語っていた。
元気な笑顔が似合う真央選手、できれば笑顔のままでいて欲しい

10代の若い選手達の台頭で、25歳の最年長になってしまったが、真央選手自身が14歳の頃から歩いてきた同じ道でもある。
どこまで歩き続けるのかは知らないが、笑顔でない貴女はみんなの望む真央ちゃんではない事をキチンと知って、これからも歩いて行って欲しい。



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