やましたさんちの玉手箱
ジャックの記事
読切
Powered by fun9.net
TOP > クローゼット > 和服

ヒクソン・グレイシーも悦に入った 男の着物

 400戦無敗を誇る、ブラジルの柔術家、ヒクソン・グレイシーが着物を着た。その、男らしさ。当人は“着心地はいいし、気持ちもすばらしい。動きはあまりよくない”なんて言ってるようですが、伝統の着物。
 外国人女性が日本に来て、よく着物姿を見せることがありますが、まあまあ、といったところで、なかなかやっぱり様になりません。近頃、これほど『様』になった着物姿を見せた外国人もいませんでした。日本のスポーツマンも、たまには凛々しい着物でもお目にかけて欲しいものです。

 さて、男の着物。浴衣は若い人もよく着るようになりましたが、草食系はどうも、浴衣地が身体に巻きついたみたいで、まあ、着物に親しむ第一歩としてはやむを得ないところではあります。
 正月から冬の間、男が着物で、オヤッ、と思わせるいい機会。まずは、手ごろなウールの一揃いなんかどうでしょうか。
 ウールとは羊毛の毛織物のことで、手触りがよく、張りがあり、堅ろう、保温と吸湿性に富んでいて、しわにもなりにくいという特質を持っています。その昔、男の日常着として慣れ親しんだものです。

 私も、結婚してすぐにウールの着物一着を作りました。ユフィは仕事で使っていたこともあって、着物をよく着ていました(最近は身頃が合わなくなった、とほとんと着物姿を見せてくれませんが)。今でも箪笥にはずいぶん多くの着物が、「箪笥預金」ならぬ「箪笥着物」として眠っています。

 私も、兄が多かったせいもあって子供の頃からお古を着せられていたので、着物には抵抗がありません。和裁が出来るユフィがウールの反物を仕立ててくれて、結婚後の仲人さんへの年始や、当時の社長宅の年賀には着物で出かけたものです。その後も編集プロダクションという「ゆるい」仕事場に居たので、正月には着物、というかっこつけで、役にたってもらっていました。

 ウールの着物は、浴衣を着る時と違って角帯を締める面倒が無く、兵児帯という柔らかいもので、お腹をゆったりと回せばいいので一人でも着まわせます。ただし、ある程度、しっかり締めないと、ウール地のしっかりさ、に負けて、着崩れしかねないところです。
 ヒクソンほどにはなれないかもしれないけれど、着物に羽織、足袋は少しいいものを奮発して、履物は下駄でよろしい、なにせ、着物の普段着になるので、気軽とはいかないけれど、少し気取った正月と、寒い時期にお出かけして欲しいものです。
 言い忘れましたが、着物着るときは、下着はUネックと半袖シャツです。寒くても長袖で着物から、シャツが見えてはいけません。
着物 ウール

 着物・羽織は、まあ外出着。羽織を脱いで着物の着流しで家で過ごしてもいいですが、家庭ではやっぱり着流しです。
 日本人の役者は、兵隊とやくざをやらせたら、誰でも様になる、といわれるくらい、着流しは日本人のルーツでもあります。なにしろ、健さんは、着流しで文化勲章もらっちゃったようなものですから。

 私の着流しは、「弓浜絣」です。
 昔、20年も前になるかな。「着物風土記」という雑誌の連載を持っていて、各地の織物の産地を取材していた時のこと。鳥取県には、弓ヶ浜という、その名のとおり、弓形に沿った浜辺があります。
 世界無形文化遺産の小千谷縮・越後上布や結城縮など、を筆頭に日本各地には縮の織物がありますが、弓浜絣もその一つ。私が訪ねたのは、地元で弓浜絣の生地の収集家の先生。話好きの私と、妙に意気投合して、先生から“ジャックさん、今なら、私、絣織ってあげられます、5万円くらいですがどうです”と言われまして。これ、断れませんよ。“先生、是非”ということで、半年くらいで我が家に届いたのが、今は正月の家庭着になっているきものです。
着物 弓浜絣
もちろん、健さんと、体型も、キャリアも、渋みも、凄さも、あと、なんだろう、私は話好きだから、寡黙さも、もちろん違う、弓ヶ浜絣だ。
Powered by amaprop.net
▲ページTOP